資料請求番号:DE33
新刑法 性犯罪厳罰化について
6月16日、国会にて「性犯罪厳罰化」の刑法改正が成立しました。性犯罪に関する大規模改正は1907年の刑法改正以来初めてです。本記事では、本改正のまとめと、本改正が被害者と立場としてどのような意味を持つのかについて説明いたします。
性犯罪厳罰化
概略
①強姦罪を強制性交等罪へ
「加害者は男性、被害者は女性」とされていた部分、すなわち性別の規定を撤廃。
②強姦罪などの非親告罪化
強姦罪や強制わいせつ罪などに問うために必要だった被害者の告訴を不要とする
③法定刑の下限を引き上げ
懲役3年から懲役5年に引き上げ。
④監護者性交等罪の新設
18歳未満の子どもに性的な行為をした場合、暴行や脅迫がなくても罪に問える
上記刑法改正は23日に公布され、7月13日に施行される見通しです。
性犯罪厳罰化 詳細
①について、性的少数者(私はマイノリティと呼んでいます)への配慮を求める追加の法律案が可決されました。今後は警察や検察、裁判所になどに偏見に基づいて被害者に対して不当な取り扱いをしないよう徹底させるように努めることになりました。
むしろ逆に警察や裁判所までも性的マイノリティの偏見があったということ自体がもう絶望だし驚きだよ・・・
警察や裁判所の研修に「偏見のないように」という内容を盛り込むらしいけど、果たしてホントに上手くいくのかな・・・研修なんかやっても本人の心持ちがかわらなきゃ意味ないからねぇ・・
②強姦罪などの非親告化
ここが法改正の大きなポイントです。今まで、性犯罪として加害者を罰するには被害者の告訴が必要でした。これからは被害者の告訴が不要となりました。性犯罪・性暴力が起きた時点で罪に問うことができるようになったのです。これまで、性犯罪として加害者に処罰をも求めるかどうかを判断させるのは被害者にとって負担が重く、性犯罪が表面化しにくいという問題点がありました。
その・・・なんていうか・・・性的な被害を受けているということを他人に説明するのって、心理的にものすごく負担なのよ。女の子にとって「私は○○なことや××なことをされている。だからこの人を訴えます」っていうのが、恥ずかしいのよ。それが言わなくて良くなった。起こった時点で罰せられる。これは被害者にとって大きなことなのよ。
それは男だって同じだぜ。こんな話があるみだいだ。
都内の50代の性的少数者(LGBTなど)の男性サバイバーは16歳の時、新宿のロックカフェで知り合った中年男性の性暴力を受けた。以降、フラッシュバックや悪夢に襲われ「自分の体も心も汚いものになってしまった」と自責の念に駆られる日々が続いた。「男が被害に遭うという事実を受け入れられず真っ暗闇に落ち込んでしまった。LGBTは性的指向がばれるのを恐れて誰にも言えず、強く苦しむ」
2017年6月17日 毎日新聞 朝刊 29面
この人やこの人と同じ悩みを抱えている人にとっては、改正内容の①と②は大きな意味を持つんだ。
LGBTとは女性同性愛者(Lesbian)男性同性愛者(Gay)両性愛者(Bisexual)トランジェンダー(Transgender)の略だよ。
毎日新聞さんよぉ、朝日・読売と比べてこの刑法改正を大きな紙面を使って取り上げてくれたのはありがたいんだけど、いきなりLGBTのような略語を使うのはやめてほしいな。言葉が間違って認識されると、当事者にとって負担になるからさ。
③法定刑の下限引き下げ
法定刑の下限が懲役3年から懲役5年に引き上げられました。
それだけ重い罪ってことなんだよ。僕が受けたのは虐待だったけど、虐待も性暴力も「人権侵害」だから同じくらいの罪だと思っているよ。人権侵害を受けたら心に傷を受けて一生治らないんだ。子どものころに受けたのならなおさらだよ。やっぱり許せないんだよ。
④監護者性交等罪の新設
家庭内での性的虐待を念頭に親などの「監護者」の立場を利用して(影響力に乗じて)18歳未満の子どもに性的な行為をした場合、暴行や脅迫がなくても罪に問える。毎日新聞によると
LGBTの東小雪さん(32)は3歳から中学2年まで実父から性虐待を受け続けた。大人になってトラウマに苦しみ、リストカットや自殺未遂などを繰り返した
2017年6月17日 毎日新聞 朝刊 29面
「人権侵害を受けたら心に傷を受けて一生治らない」の具体例だよ。
親がその立場を利用して、子どもへ人権侵害をしたら、子どもは抵抗できないんだよ。子どもは親なしじゃ生きていけないからね。こういう子どもを「サバイバー」と呼ぶんだよ。親の立場を使って子どもの人権侵害をするなんて、やっぱり許せないよ・・・
性犯罪厳罰化 まとめ
この刑法改正は「性別・親子関係なく、訴えがなくても、加害者を罰することができるようになった」とまとめられるでしょう。
実父から虐待の被害を受けたAC当事者としての私の意見
今回は性犯罪が対象となっておりましたが、今後、対象範囲が広がり虐待・ネグレクトへ、そして人権侵害まで広がっていくことを強く期待いたします。これにより親からの人権侵害を受けていて泣いている子どもの多くが救われるようになればと思います。
また刑法を活用するのは子どもには不可能です。泣いている子どもは泣くことしかできません。周囲の大人が今回改正された刑法を知り、それに基づいて子どもを救済する必要があります。
大人は子どもを泣かせることもできるし、笑顔にすることもできます
だったら私たちは笑顔にしていこうじゃありませんか。法の準備は整ってきた。あとは周囲の大人(我々)がどう活用するかです。本記事は私たち大人が子どもを救うための法知識を整理する目的としても執筆しております。
性暴力サバイバー 山本潤さん
本刑法改正は子供のころに父親からの性的虐待を受けてきた「山本潤」さんの懸命な活動により為されました。一個人の活動により、仲間を集め、最終的に刑法を変えるまでに至りました。このことは、現在の被害児童およびアダルト・チルドレンにとっての大きな希望です。山本さんの強い行動力を私は尊敬します。そして、実際に被害児童およびアダルト・チルドレンを救う第一歩の道しるべを作ってくれた山本さんに感謝です!
山本潤さん おめでとうございます! そして ありがとうございました!
最後に山本さんの国会における発言でこの記事を締めくくりたいと思います。
性暴力の本質は人をものとして扱うこと
その時、私たちは心を魂を殺される
山本 潤
山本さんの詳しい活動内容、親告罪と非親告罪についての詳しい説明、被害児童を守る上での残課題をまとめた記事もアップしています
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