高校数学で理解するベクトルの使い方|わかりやすい解説で物理や電磁気学への応用を理解





高校数学で理解するベクトルの使い方|わかりやすい解説で物理や電磁気学への応用を理解



資料請求番号:TS11

なぜベクトルが必要か?

高校の数学でベクトルというのを習ったかと思います。ベクトルがわかるようになるとその先にベクトル解析があり、それをマスターすると水の流れ電気の振る舞いがわかるようになります。高校でベクトルを習うのはその下準備なのです。
ベクトルには「数値」の情報に加え「向き」の情報も含むといった感じで教えられたかと思います。
ここでは、ベクトルという概念の必要性を理解し、どんな使い方をするのかを知っていただくために、ベクトルの基本を説明します。

数値の情報だけでは表すことのできないものがある

なぜベクトルなどというわけのわかんないものがあるのか?それは因と果を一対一で対応させるためです。初学者には数値と向きがあるといわれてもピンと来ない人のほうが多いでしょう。ここで、ベクトルの例として「力」を挙げてみます。力をアルファベットのFで表します。

力と言えば、1㎏の物体を加速度1m/s2で移動させたとき、物体にかかる力をF = 1Nと呼ぶと習ったかと思います。では、とある摩擦のない床があったとして、東の方向に1㎏の物体を加速度1m/s2で移動させたとき、これをF = 1Nと言いますね。北の方向に同じことをした時にもF = 1Nと言いますね。でも前者の場合と後者の場合とでは力を作用させた後の結果が違います。前者の場合は原点より東に物体があり、後者の場合は原点よりも北に物体があります。でも加えた力はF = 1Nで同じです。因と果はそれぞれ一対一で対応していないと困るのです。

この2種類の矢印を同じF = 1Nと表記してしまうと誤解を生じるかもしれないですね。

ベクトルの存在意義

ここで、力という変数に対して方向を与えようということになりました。これがベクトルです。変数Fをベクトルとして東の方向に1㎏の物体を加速度1m/s2で移動させたとき、これをFE = 1Nと言います。同様に北の方向に同じことをしたとき、FN = 1Nと言います。これで因と果が一対一になり、すっきりしました。

方向は違いますが、同じ力なのですから、一文字で表したくなると思います。これが「力というベクトル」の誕生経緯です。そういう時はFを太字にしてあげる、あるいはFの上に矢印をつけてあげればFには方向の情報も入っているよ」という暗黙の了解が得られます。教科書はこの暗黙の了解について触れず、さも当たり前のように表記しているからわかりにくいのです。ここではF =(FE, FN)ですね。一般に物理の世界では数学に準拠しますからx,y,zの座標を使用して記述することが多いです。ですからFと書かれていれば暗黙の了解でFにはx方向の情報とy方向の情報とz方向の情報が入っている、すなわちF = (Fx, Fy, Fz)だと理解することができます。

ベクトルを使えばいろんな方向の力を表現することができます。例えばこんな感じ

x軸からナナメ60°の向きの力を図に表しました。これを数式で表せば

ということになります。i,j,kは基底ベクトルと呼ばれます。後ろにiがあればx方向、jがあればy方向、kがあればz方向なんだな。と考えていただければOKです。

色々なベクトル

今回は力を例にベクトルについて説明しましたが、速度もベクトルです。静岡から東に100㎞/hのスピードで2時間弱ぐらい進めば東京に着きますが、西に進めば名古屋に着きます。100km/hに方向の情報がなければ因と果が一致しないことになりますね。

ほかに電場や磁場もベクトルです。点電荷を一つ置いたらその周辺にこんな形の電気力線ができます。

こんなナナメだらけの矢印をどうやって数式で表現するんだー!!と問われればやっぱりベクトルを使うことになります。ベクトルを使うことによって色々な現象が正確に表現できるようになるのです。だから高校生の時にベクトルというものを習うのです。

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