【基本情報技術者試験】第3回:ハードウェア基礎の徹底攻略!CPU・メモリ・ストレージの仕組み
この連載では基本情報技術者試験の合格を目指して、全20回にわたり基礎から実践までを解説しています。前回までに試験概要と効率的な学習計画を固め、いよいよ本編のテクニカルな内容へと踏み込んでいきます。
今回(第3回)は、午前試験で頻出となるハードウェアの基礎分野に焦点を当てます。コンピュータの中枢であるCPU(Central Processing Unit)、その周りを取り巻くメモリ、そしてさまざまな種類が存在するストレージについて、基本的な仕組みや用語を一挙に整理しましょう。これらの知識は、他の分野(OS、ソフトウェア、ネットワークなど)を理解するうえでも土台となる重要領域です。
1. CPUの基本概要と動作原理
CPUは「中央処理装置」と呼ばれ、コンピュータの頭脳にあたります。プログラムの命令を解読し、演算・制御を行うことでシステム全体を動かしています。
CPUの主な構成要素
- 制御装置(CU: Control Unit):命令の解読・実行を指示する。
- 演算装置(ALU: Arithmetic Logic Unit):算術演算(加減乗除)や論理演算を行う。
- レジスタ(Register):非常に高速な小容量メモリ領域で、一時的なデータ保存に用いる。
CPUはメモリから命令を取り出し(フェッチ)、解読し(デコード)、実行結果を再び格納(ストア)するプロセスを高速に繰り返します。
クロック周波数とパイプライン処理
CPUの処理速度を示す指標としてよく挙げられるのがクロック周波数(GHz単位)。これはCPU内部で発生するクロック信号の周期で、これが速いほど多くの命令をこなせます。また、命令を段階的に分割し並行処理を可能にする「パイプライン処理」により、同一クロック周波数であってもより効率的に命令を実行できます。
マルチコアCPU
近年は1つのCPUパッケージ内に複数の演算コアを内蔵したマルチコアCPUが主流です。これにより並行して複数の命令列を同時実行することが可能となり、パフォーマンスが大幅に向上します。
2. メモリの階層と種類
メモリはCPUが直接アクセスしてプログラムやデータを保持するための記憶装置ですが、速度や容量、価格の面でいくつかの階層が存在します。これをメモリ階層(メモリヒエラルキー)と呼びます。
メモリ階層のイメージ
階層 | 代表例 | 特徴 |
---|---|---|
最上位 | レジスタ | CPU内蔵。極めて高速、容量は極小。 |
高速層 | キャッシュメモリ | CPU内または近傍に配置。高速・容量小。L1/L2/L3などの階層がある。 |
主記憶 | メインメモリ(RAM) | CPUが直接アクセスする揮発性メモリ。容量大だがキャッシュより遅い。 |
下位層 | ストレージ(HDD/SSD) | メインメモリより大容量だが、アクセス速度は遅い。非揮発性。 |
RAMとROM
メインメモリとして使われるのは基本的にRAM(Random Access Memory)。主にDRAMやSRAMが用いられます。一方、起動時のBIOS/UEFIの格納などで用いられるROM(Read Only Memory)は、基本的に書き換えが困難または制限的であり、電源OFFでも内容が保持されます。
キャッシュメモリの役割
CPUは非常に高速に動作しますが、メインメモリはCPUより遅いため、命令やデータを取り出すときに待ち時間が発生します。そこで、高速なキャッシュメモリを間に挟み、よく使うデータをキャッシュに格納して高速なアクセスを可能にしています。
3. ストレージの種類と特徴
ストレージはプログラムやデータを永続的に記憶する装置で、電源を切ってもデータが残る非揮発性メディアです。近年はHDDからSSDへの移行が進み、多様な選択肢があります。
HDD(Hard Disk Drive)
- 磁気ディスクを高速回転させ、ヘッドで読み書きする。
- 容量単価は安価で大容量化しやすい。
- 物理回転部品があるため、アクセス速度はSSDより遅く、衝撃にも弱い。
SSD(Solid State Drive)
- フラッシュメモリを用い、可動部品がない。
- アクセス速度が非常に高速、ランダムアクセス性能に優れる。
- HDDに比べて価格は高めだが、近年は価格低下と大容量化が進行。
光学ドライブ・その他ストレージ
CD、DVD、Blu-rayなどの光学媒体や、USBメモリ、SDカードなどのリムーバブルメディアもストレージの一種です。これらはバックアップやデータ移動に使われ、容量・速度・耐久性・価格の点でさまざまな選択肢があります。
RAID構成と冗長化
サーバ環境などでは複数のストレージを組み合わせて冗長化・高速化を行う技術の総称としてRAID(Redundant Array of Independent Disks)が用いられます。RAID 1(ミラーリング)やRAID 5(パリティ分散)などが代表的で、耐障害性向上や性能向上を狙います。
4. 基本情報技術者試験での出題ポイント
基本情報技術者試験の午前問題では、ハードウェア分野から下記のような問題が出題されます。
- CPUの構成要素(制御装置・演算装置・レジスタ)や、パイプライン処理の特徴
- メモリ階層(レジスタ、キャッシュ、メインメモリ)、揮発性/不揮発性メモリの特徴
- RAMとROM、DRAMとSRAMなどのメモリの特性比較
- HDDとSSDの特徴、アクセス速度や耐久性の比較
- RAIDレベルや光学メディアの特徴
特に、抽象的な用語定義だけでなく「どの階層がどれほど高速なのか」「どの装置がどのような役割を担っているのか」という相対的な理解が重要です。また、コスト・速度・容量・耐久性など、観点を複数持っておくと問題をスムーズに解けるようになります。
学習ポイントまとめ
- CPUの基本構造と命令実行サイクル(フェッチ・デコード・実行・ストア)を理解する。
- メモリ階層(レジスタ、キャッシュ、メインメモリ、ストレージ)の意味と速度差を押さえる。
- RAM、ROM、DRAM、SRAM、HDD、SSDなどの違いを正しく区別できるようにする。
- 試験問題は基本的な原理から出題されるため、複雑な技術より基礎概念を重視。
次回予告
次回(第4回)は、ハードウェアに続いてソフトウェア基礎に焦点を当てます。OSやミドルウェア、アプリケーションソフトウェアの役割や特徴を理解することで、コンピュータ全体の構造をより深く把握できるようになります。ハードウェアとソフトウェアは車の両輪のような存在です。しっかりと理解して次のステップに備えましょう。
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