【基本情報技術者試験】第13回:アルゴリズム問題を攻略!疑似言語とデータ構造の頻出パターンを徹底解説
前回(第12回)は午後試験全般の攻略法を紹介し、長文読解のコツや時間配分、問題選択の戦略などを解説しました。今回は、その午後試験の中でも多くの受験者が苦戦しがちな「アルゴリズム問題」に特化して取り上げます。
アルゴリズム問題では、疑似言語やプログラムの一部コードを読み取り、処理の流れを推測して出力を求めたり、バグの箇所を探して修正したりといった作業が求められます。中には、データ構造(配列、スタック、キュー、リストなど)を駆使したソート・探索の問題も頻出です。この記事では、典型的な出題パターンと解き方を整理し、合格をつかむためのポイントを詳しく解説します。
1. 基本情報技術者試験におけるアルゴリズム問題の位置づけ
1-1. 午後試験での出題傾向
午後試験では、アルゴリズム問題が「必須問題」または「選択問題」として出題されるケースがあります。いずれにせよ、合格を確実にするにはアルゴリズム分野から逃げるのは難しい状況が多いです。代表的なパターンとしては、
- 疑似言語で書かれたソート・探索・文字列処理などのプログラムを読み取り、出力結果や変数の最終状態を答える
- 途中にバグや未完成部分(空欄)があり、それを修正・補完して正しい動作になるようにする
- フローチャートや状態遷移図などが提示され、実行の流れをトレースして結果を答える
いずれも、基本的な制御構造(順次・分岐・繰り返し)や変数の扱い、配列やリスト等のデータ構造に関する知識が問われるため、プログラミングの基礎理解が合否を左右します。
1-2. 午前知識の応用
午前試験ではアルゴリズムとプログラミングに関する基礎問題(ソートの計算量、制御構造やデータ構造の用語など)が出題されます。午後試験のアルゴリズム問題は、そうした午前知識をより実践的な読み解きスキルに発展させる場と考えてください。
つまり、単に「バブルソートの計算量はO(n^2)だ」という暗記だけでなく、「この疑似コードはバブルソートに似ているが、途中で条件分岐が違う点がある」といった読み取りまでできるかが重要です。
2. 疑似言語の構文と読み解き方
2-1. 代表的な疑似言語の構文
基本情報技術者試験の午後問題で用いられる疑似言語は大まかに以下のような書き方が多いです:
// 例:配列 A の要素数 n を読み込み、A を昇順にソートする疑似コード READ n FOR i FROM 0 TO n-1 READ A[i] END FOR FOR i FROM 0 TO n-2 FOR j FROM n-1 DOWNTO i+1 IF A[j-1] > A[j] THEN // 要素を入れ替える TEMP = A[j] A[j] = A[j-1] A[j-1] = TEMP END IF END FOR END FOR
- 変数・配列の宣言(配列A[] など)は省略される場合がある
- 繰り返し構文(FOR, WHILE, REPEAT-UNTIL など)、条件分岐(IF-THEN-ELSE など)が中心
- 入出力(READ, WRITE)や変数代入(x = y)などが出現
問題文によっては独自の構文ルールが示される場合もあります。「配列の添字が1から始まる」などの違いを見落とさないよう注意しましょう。
2-2. 擬似言語を正確にトレースするコツ
疑似コードやフローチャートを読み解く際は、以下の点に留意して進めると効率的です:
- 変数の初期化と更新を丁寧に追う
– ループの開始時に変数がどうセットされるか
– ループ内の計算や条件分岐で変数がどう変化するか - 配列やリストの添字を正確に把握する
– 0から始まるか、1から始まるか
– 添字の上限やループ範囲 - if文の条件式に注目する
– 比較対象は正しいか
– 結果がtrueの場合とfalseの場合で処理がどう分かれるか - 一行ごとに処理を紙に書き出す
– 短い配列や変数であれば、実際に表を作って値を更新していく
本番では、大きな配列を全部書き出すのは時間がかかりますが、部分的に抜き出してトレースすると誤りが少なくなります。要領よくメモを取りながら進めましょう。
3. データ構造の頻出パターン
3-1. 配列・リスト・スタック・キューの基本
アルゴリズム問題では、配列や連結リスト、スタック、キューといった基本的なデータ構造が使われることが多いです。例えば:
- 配列: 要素アクセスが添字で直接可能。ソートや探索に用いられる。
- 連結リスト: ノードがポインタでつながっている構造。挿入・削除が容易だが、ランダムアクセスは苦手。
- スタック: LIFO(後入れ先出し)構造。「push」→トップに積む、「pop」→トップから取り出す。
- キュー: FIFO(先入れ先出し)構造。「enqueue」→末尾に追加、「dequeue」→先頭から取り出す。
午後試験では、これらの基本操作(スタックならpush/popなど)を行う処理が疑似言語で書かれ、最終的にスタックやキューに残った要素を答える問題がよく見られます。操作の順番や添字ミスに注意して、途中経過を正しく追跡することが大切です。
3-2. ソート・探索アルゴリズムの代表例
ソートと探索はアルゴリズム問題の定番です。頻出アルゴリズムを以下に挙げます:
- バブルソート: 隣接要素を比較・交換しながら後ろへ大きい要素を送る。O(n^2)
- 選択ソート: 残りの中から最小要素を選んで先頭と交換する。O(n^2)
- 挿入ソート: ソート済み領域に新しい要素を挿入して整列。データがほぼ整列済みの場合は高速。
- クイックソート: ピボットを基準に配列を分割し再帰的にソート。平均O(n log n)、最悪O(n^2)
- 線形探索: 先頭から順に探す。O(n)
- 二分探索: ソート済み配列を中央要素で分割し、範囲を絞る。O(log n)
午後試験では、ソートアルゴリズムの変形バージョンを出題して「交換の回数は何回発生するか」や「実行後の配列の順序はどうなるか」を問うケースがあります。実際に配列を紙に書いて追うのが確実です。
4. アルゴリズム問題の典型的な出題パターン
4-1. 出力結果を求める問題
もっともオーソドックスなパターンは「疑似言語を実行したときの最終的な出力は何か」を問う問題です。変数・配列の途中経過や最終状態を正確に把握する必要があります。対策としては:
- 入力例が与えられている場合、実際に手計算で全ステップを実行
– 簡単な表やメモを作り、行ごとに変数がどう変化するか書き込む - コードの分岐やループ条件を見落とさない
– ifの判定式やループの範囲を厳密にチェック
時間が許す限り、計算結果を再チェックしてミスを減らすことが大切です。
4-2. 空欄補完(バグ修正)問題
もう一つ頻出なのが、「この疑似言語には空欄があり、正しいコードを埋める」もしくは「バグがあるので修正案を書け」という形式です。ポイントは:
- 意図されているアルゴリズムの流れをまず理解する
– おそらくバブルソートを実現したいのに交換処理が間違っている、といった具合 - 変数やループ添字の動きが不整合を起こしていないか確認
- 想定される出力に合うように空欄を埋める
ここでも、典型的なソート・探索アルゴリズムの構造を知っておくと、「本来ここで j は i+1 からスタートすべき」など、バグに気づきやすくなります。
4-3. 処理の効率(計算量)や改良提案を問う問題
午後試験では、アルゴリズムの実行時間(計算量)や、より効率的な書き方を提案させる問題も稀にあります。例:「このアルゴリズムの実行ステップ数を n の式で表せ」「データがほぼ整列済みの場合の改善案を述べよ」など。
- 計算量を O(n^2), O(n log n) などのビッグオーダーで答える形
- 高速化の方法を具体的に記述(ソートアルゴリズム変更、早期終了判定の追加など)
過去問を見ると数は多くありませんが、ソートの途中で交換が一度も発生しなかったら終了といった最適化を問う出題などが見られるので、頭の片隅に入れておくとよいでしょう。
5. 効率的な学習・演習方法
5-1. 過去問のアルゴリズム問題を徹底的にトレースする
アルゴリズム問題は、過去問を実際に紙に書きながら解く学習が最も効果的です。以下の点を意識すると理解が深まります:
- 実行ステップを丁寧にメモ: 配列や変数をテーブル化し、ループ一回ごとに更新
- どのようなアルゴリズムか見極める: バブルソート、挿入ソート、線形探索、2分探索 etc.
- バグ修正問題では、正しい形を自力で復元できるか練習
一度解いた過去問でも、時間をおいて再度解いてみると、正確性とスピードが向上しているか確認できます。複数回の反復演習が特に有効です。
5-2. プログラミング言語で実際に動かしてみる
疑似言語の問題でも、簡単なプログラム(C、Java、Pythonなど)を自分で書いて実行してみると、処理結果を確かめやすいです。もちろん試験本番ではできませんが、勉強段階で「この疑似コードは実際にどんな出力をするか」を確認すると、理解と記憶が深まります。
- 小規模配列であればプログラムを数行で書いて確認
- バグ修正問題も、修正案をコードに反映してコンパイル & 実行チェック
ただし、言語仕様による細かな違い(配列のインデックスや入出力の書き方)に注意しつつ、あくまでも「疑似言語を本番で頭の中で実行する力」を養うのが目的です。
5-3. 模試・問題集で時間制限下でのトレースを練習
本番では時間管理が重要です。アルゴリズム問題に時間をかけすぎると、他の問題が手つかずになりかねません。したがって、模擬試験や問題集で、ある程度の制限時間(30分〜40分目安)を意識しながら演習しましょう。
- 制限時間を設定し、1問ごとにタイマーを使って練習
- 最適化: すべてを完璧にトレースせず、重要部分だけ重点的にチェックできるようになる
- 見直し: 時間が余ったら一通り結果を再チェックし、凡ミスを減らす
慣れてくれば、途中経過をすべて書き出さなくても、ループの途中で「あ、この条件だと要素はこう動くな」と推測できるようになります。最終的には問題ごとの必要最小限のトレースで答えを導くスピードが鍵となるでしょう。
6. まとめと次回予告
- アルゴリズム問題の重要性: 午後試験で合格点を確保するうえで回避しにくい分野。
- 疑似言語の読み解き: 制御構造・変数・配列添字などを正確にトレース。バグや空欄補完にも対応。
- データ構造: 配列、リスト、スタック、キューなどを使いこなし、ソート・探索の典型アルゴリズムに慣れる。
- 出題パターン: 出力結果を求める、バグ修正、効率化の提案など多彩。落ち着いて意図を読み取る。
- 学習法: 過去問演習で手を動かし、疑似コードを紙や簡単なプログラムで検証。模試や問題集で時間管理も鍛える。
アルゴリズム問題は最初はハードルが高く感じられるかもしれませんが、パターン学習と実践的トレースを繰り返すことで大きく得点源にできます。次回(第14回)は、データベース問題のアプローチをさらに詳しく掘り下げ、SQLクエリや正規化手順、トランザクション管理などを取り上げる予定です。そちらもぜひお楽しみに!
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