【初心者必見】物質量(mol)と化学反応式の基礎 – 第1回
はじめに
こんにちは。本記事では、物質量(mol)の基本概念と、化学反応式を中心に解説していきます。化学を学ぶ上では避けて通れない要素ですが、「なんとなく分かっているつもり」「公式に当てはめるだけ」という方も多いのではないでしょうか。会話形式で進めますので、ぜひリラックスして読み進めてみてください。
第1章:物質量(mol)の基本理解
まずは「mol」とは何か、というところから。
日常では「1ダース=12個」「1グロス=144個」など、ものをまとめて数える単位がありますよね。化学でも非常に小さい粒子を扱う都合上、まとめて数える必要があるためにmolが使われます。
1. molの定義
1molは、6.02 × 1023 個の粒子数を意味し、これをアボガドロ定数(NA)と呼びます。例えば、酸素分子(O2)1molには6.02 × 1023個の酸素分子が含まれるというわけです。
目に見えないほど小さい原子や分子を数えるには、桁違いに大きな数が必要なので、molは非常に役立つ単位です。
【例題】molの基本計算
例題1:質量からmolを求める
【問題】
水(H2O)18.0gには何molの水分子が含まれていますか?
【考え方】
水の分子量は「H:1.0 × 2 + O:16.0 = 18.0」です。
よって水1molの質量が18.0gということになります。
【解答】
18.0g ÷ 18.0g/mol = 1.0mol
したがって、18.0gの水には1.0molの水分子があります。
例題2:標準状態の気体の体積を用いる
【問題】
標準状態(0℃, 1atm)では、1molの気体が22.4Lを占めるとします。メタン(CH4)44.8Lを用意した場合、それは何molになるでしょうか?
また、このメタンを完全燃焼させるのに必要な酸素(O2)は標準状態で何L必要ですか?
燃焼反応式:
CH4 + 2O2 → CO2 + 2H2O
【解答・解説】
●メタンのmol数:
44.8L ÷ 22.4L/mol = 2.0mol
●酸素必要量:
反応式では、CH41molあたりO22molが必要。
よって、メタン2.0molなら酸素4.0mol必要。
1molの気体が22.4Lなので、4.0mol = 4.0 × 22.4L = 89.6L
従って、メタン2.0molを完全燃焼させるには、89.6LのO2が必要です。
第2章:化学反応式とmolの関係
ここでは、molをベースに書かれた化学反応式がどのように成り立っているかを見ていきます。
例えば、メタンの燃焼反応式
CH4 + 2O2 → CO2 + 2H2O
は、1molのCH4が2molのO2と反応するというモル比を示しています。
1. molでは成立するが、g(質量)では成立しない?
「反応式が示す比率はmol(物質量)の比率であって、質量の比率ではない」という点は重要です。
例えば、先ほどの燃焼反応式から読み取れるのはあくまで「CH41mol : O22mol」であり、16g : 32g×2=64gではない、ということです。
実際に質量で合わせると、メタン16gに対し酸素64gの比率になり、これは偶然にも同じ比率になってはいますが、化学反応式が直接教えているのはあくまでmol同士の比です。
例えば別の反応では、「molの比と質量の比が全く一致しない」ケースもよくあります。化学反応式=物質量(mol)の比例だと頭に入れておくことが大切です。
2. 化学反応式の係数が表す意味
反応式の係数は、それぞれの物質の相対的な物質量を示します。
例えば、下記のような反応式では:
2H2 + O2 → 2H2O
「H22mol と O21mol が反応して、2molのH2Oができる」と読むのが正しい理解です。
この比を質量に置き換えるにはそれぞれの分子量を掛け算して変換しなければなりません。「分子量の違う物質を、そのまま質量だけで比率を読むと誤解が生まれる」という点に気をつけましょう。
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