資料請求番号:TS52
はじめに(移動現象論で何がわかるの?)
日常で見かける現象、例えば「水槽に垂らしたインクが自然と広がる」「お湯が冷めていく時間」「味噌汁のお椀でモヤモヤする現象」とか、そげん疑問に答えることができるっちゃよ。
- 水槽に垂らしたインクの濃度が均一になるのにかかる時間はどれくらい?
- コップに入れたお湯が冷めるのに必要な時間はどれくらい?
- 味噌汁をお椀に入れた時に出るモヤモヤはなぜできるの?
- 魔法瓶はなぜ保温、保冷ができるの?
- サラサラな液体と粘っこい液体をストローで吸うとき必要な力はどう違うの?
移動現象論とは一言でいうと
「物質量、運動量、熱量といった物理量が移動する速さについて取り扱う学問」
物理量の移動とは?
物質量を例にとってみます。
水槽にインクを垂らすと、インクは自発的に広がっていきます。これは「物質量は多いところから少ないところへ勝手に移動する」という自然の法則に従っているのです。
移動の速さを表す式
物質量が多いところから少ないところへ移動する。その「速さ」を表す式は次の通りです。
$$
J = -D \left( \frac{\partial C}{\partial x} \right)
$$
Jは単位時間、単位面積あたりの物質の移動量([mol・m-2・s-1])です。
Dは拡散係数[m2・s-1]で物質固有の値、Cは濃度[mol・m-3]、xは位置[m]で、\(\frac{\partial C}{\partial x}\)は濃度勾配を表しています。
移動現象のアナロジー
ここまで物質量を例にしましたが、熱量や運動量も同じように「多いところから少ないところへ移動する」性質があります。
熱量については、
$$
q = -\lambda \left( \frac{\partial T}{\partial x} \right)
$$
ここで、qは熱フラックス(単位時間・単位面積あたりの熱移動量)、λは熱伝導率(定数)、Tは温度、\(\frac{\partial T}{\partial x}\)は温度勾配です。つまり、
「熱量の移動速度も定数×温度勾配」で決まります。
同様に、運動量の移動も
$$
\tau = -\mu \left( \frac{\partial v}{\partial x} \right)
$$
で表され、これは「定数(粘性係数μ)×速度勾配」で決まります。
まとめ
移動現象論は、物質量・運動量・熱量といった物理量が移動する速さを扱う学問です。
「物理量は多いところから少ないところに移動する」「その速度は勾配に比例する」という原則に基づいています。
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