資料請求番号:TS93
電磁波とは波である
私たちが普段目にしている光や恩恵を受けている電波は波の性質を持っているということを証明した過去があります。今回はマクスウェルの方程式を出発点にして電磁波は本当に波なんだということを確認することが目的です。
電磁波についておさらい
[blogcard url=”http://shimaphoto03.com/science/emw/”] 電磁波について解説したこのページで「電磁波とは電場と磁場が波型に振動している現象」と説明しました。電磁波によって私たちは物を見ることができたり、可視光線の波長成分のあるなしで色を判断したり、1億5000万kmもの遠くから離れた太陽の熱を感じ取ることができたり、電子レンジでチンできたり、テレビを見たりすることができるのです。では、「では、電場と磁場が波型に振動している」ってどういうことなんでしょう?ここでは数式をバリバリ使ってその現象に迫りたいと思います。[/hukidashi]マクスウェルの方程式
マクスウェルの方程式4つを持ってきました。
マクスウェルの方程式の解釈についてはこちら
[blogcard url=”http://shimaphoto03.com/science/maxwell-equ/”]
今回は点電荷と電流が一切ない真空を仮定しています。なので②式と④式の右辺は0となります。
⑤式のεは誘電率で真空中では8.854×10-12 [kg-1・m-3・s4・A2]の値を持ちます。電荷に力を及ぼす場の強さを表すEと電荷から発生する場の強さDは異なる二つの場ですが、⑤式のように比例定数で結ぶことができるのです。
⑥式のμは透磁率で真空中では1.257×10-6[kg・m・s-2・A-2]の値を持ちます。
上記4つのマクスウェルの方程式と2つの関係から、電場と磁場から電磁波が生まれる様子を数式で追っていきたいと思います。
電気の方程式から波の方程式へ
まずはファラデーの法則(①式)から見てみたいと思います。
(1-1)
コイルの中に棒磁石を抜き差しするとコイルに沿って電流が流れるという式ですね。これの回転をとります。
(1-2)
二つの項に∇×が増えました。ここで、ベクトル解析の公式
(1-3)
を使います。公式の証明はこちら↓
[blogcard url=”http://shimaphoto03.com/science/vector-formulas/#b1″]
(1-2)式は次のように変形されます。
(1-4)
電荷の保存式(④式)と⑤式から∇・E = 0が導かれます
(1-5)
(1-5)を(1-4)へ代入すると
(1-6)
さらに②式を以下のように変形して∇×BをEの式で表します。
(1-7)
(1-7)式を(1-6)式へ代入して
(1-8)
これをまとめると
(1-9)
同様にしてアンペールの式(②式)を変形します。変形の方法はファラデーの式(①式)と同じです。
確認したい方はこちら
波動方程式
2つの式の意味
マクスウェルの式をごちゃごちゃいじることで、以下の2つの式が生まれました。
(3-1)
(3-2)
これらは「波動方程式」に分類される偏微分方程式です。波動方程式の定義は以下の通り。
波動方程式とは
で表される定数係数二階線形偏微分方程式の事をいう。sは波動の位相速度を表す係数である。波動方程式は振動、音、光、電磁波など振動・波動現象を記述するにあたって基本となる方程式である。
Wikipedia「波動方程式」より
定義にある式と上の2式を見比べてみてください。EやBをuに、μεを1/s2に置き換えれば二つの式は波動方程式ですよね。波動方程式で記述できるということは電場や磁場は波動なのです。この電場や磁場でできた波を私たちは電磁波と呼んでいるのです。
電磁波の伝播速度を波動方程式から考える
上記定義から、(3-1)や(3-2)の波の速度を求めてみましょう。・・・と言っても簡単で、波動方程式の定義に則ってμε = 1/s2をsについて解けばいいのです。
s = 1/(με)0.5
になりましたよね。1/(με)0.5はどんな数字でしょうか?
s = 1/(1.257×10-6×8.854×10-12)0.5 = 2.998×108 [m/s]
光の速さになりました。これは「光は電場と磁場の相互作用から発生する電磁波だ」ということを証明していることになります。
これで私たちの身近に存在する「光」というものを数式で表現することができました。これによって人類は光を使ったいろいろな技術(携帯電話、テレビ、電子レンジなど)を使うことができるようになったのです。
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