資料請求番号:TS38
数検1級の富士山問題を検証してみた
数検1級の過去問題にこのような面白い問題がありました。
出典:日本数学検定協会
本記事では、この問題を解くとともに、実際に富士川で撮った写真を使用して、George博士の理論について検証したいと思います。
上の問題に従って、微分方程式の一般解を解いた後、
富士川にて自分で撮った写真を使って積分定数を求め、微分方程式の解に当てはめてグラフを描画し、我らが富士山の標高を数学で表現してみたいと思います。
問1 ラプラシアンの極座標変換
この問題の1問目に設定されている、ラプラシアンの極座標変換ですが、下の記事で詳しく解説いたしましたので、ここでは省略いたします。
結果だけ掲載します。
[blogcard url=”http://shimaphoto03.com/science/laplacian-polar/”]問2 z=z(r)の一般解
この問題は問題文が長く、色々と書かれておりますが、問題自体は至ってシンプルなもので、
偏微分方程式
の一般解を求めよ。ただし、とする。
という問題に書き下すことができます。
色々無駄な情報がある中で、自分はどんな計算をして、どんな答えを出すべきなのかを検討するのも数学力の一つだよな。
それじゃ、上の方程式を解いていくぜ。まずは、問1で求めた極座標変換を施すと、調和関数は以下の様になる。
・・・①
そして、次のポイント。zを動径rの関数として表しました。ということは、z = z(r)だよな。これが何を意味しているかわかるか?
何って・・・。zはrの関数です。ってことでしょ?
そもそも、偏微分方程式って、2変数以上の関数に関する微分方程式だろ?zは元々何の関数だった?
rとθよね・・・・。
あっ!今回の問題では、zはr「だけ」の関数で、θは関係ないから、この方程式、常微分方程式にできるのね!
そう。そういうこと!z = z(r)と置くことで、①式の微分演算子はこんな風に変形することができる。
そしたら、①式はこんな形の常微分方程式になる。
・・・②
これなら解けそうね!
・・・あ、いや、無理かも。
どうしてだ?
だって、2階の微分方程式で、一階微分の項が定数係数じゃないじゃない。定数係数じゃない2階の微分方程式って・・・なにかやり方あったかしら?
こういう時は、もし、微分の階数が1個ずつ下がったら解けそうか考えてみよう。
・・・そしたら変数分離でイケそうね。
よし。じゃあ、そしたら、zの一階微分、dz/drを別の関数に置き換えてやろう。
と置きます。そうすると②式は、以下のようになります。
これなら簡単に解けそう!
じゃあ、実際にfについて解いてみよう
ここまで来たら、後はfをrで積分すればzを求めることができる。
ここで、C2とC3は任意の定数だ。
とりあえず、数検的にはこれで解答終了。お疲れ様でしたってとこだ。
George博士の理論について検証
これで終わりじゃ面白くないので、実際に撮影した写真を元に、George博士が言っていることがウソかまことかを検証してみよう。
SS 1/2500 s , F8, iso 500
なんだかムダにisoの高い写真になってしまっているが、それは置いておいて、
これは富士川の河川敷で、まっつが撮ってきた写真だ。
こうして見てみると、富士山ってスゴイキレイな形をしているのね!数式で表せるかもって思う人がいてもおかしくないかも!
そうだな。日本一の山がアメリカ人に解析されたって言うのは、ちょっと日本人頑張れよって感じがするけどな。
それじゃ、写真を数式に適用できるように、まずは写真のスケールを決める。
東海道線の走る橋がある。今回、疑似的に東海道線の走る高さをゼロと置いた。そして、富士山の山頂から地面に向かって垂線を降ろした。
この垂線の長さが富士山の高さになる。富士山の高さは一義に決まる物だから、そこからスケールを決められるよな。
写真上の線の長さで測量していくのね!Excelなら、線の長さを測ることができるし、任意の長さの線を描いたりできるよね!
そういうこと。今回は、垂線の長さが3776mになるという制約条件のもと、1㎝の長さが500 mになるように写真の大きさを調節した。
つまり、垂線の長さが3776/500 = 7.55cmになるように写真の大きさを決めたんだ。
次にグラフを設置する。z軸は、先ほどの垂線の位置から少しだけずれることに注意する。
火口の中心と、一番高いところの場所は違うもんね。
そういうことだ。グラフは1マス2㎝四方の方眼を用意してあげる。実際の長さは1マス1km四方ということになる。
次に、図から境界条件を決めてやる。問題文に3050m以下の部分なら調和関数の解で富士山の曲面が表現できるとあるので、z = 3050 mにおけるrの長さを測る。
ディリクレ境界条件ね!反対側の境界条件も決めないと定数は決められないけど・・・無限遠をゼロにすればいいのかしら?
いや、それだと、lnの無限大が計算できないだろ?今回は写真の端っこのrとzの値をもう一つの境界条件にした。
そしたら、この一組の連立方程式ができるから、定数を決めることができる。
そしたら、めでたく標高zに関する式が完成する。
良い近似・・・なのかしら?
まぁ、こんなもんじゃねぇか?
そもそも、自然に出来た山の形が対数関数一つで近似できるってなかなかスゲェことだと俺は思うけどな。
まぁね。
これで、アレだな。火口中心からの距離が分かれば、その地点における標高が分かるってことだ。
まとめ
今回は、数検1級の問題の中で、静岡県民として面白い問題があったので、解いた上で、その問題を検証してみました。
紙で制限時間内で解けるよう、近似を置かなければ問題として成立しないので、ちょっと荒っぽいですが、
富士山の東側、3050m以下の領域は調和関数の解で表現できる。もっと言うと、対数関数一つで表現できるということが今回の問題とその検証で確認できました。
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