自律神経失調症とは?原因と仕組みを神経伝達物質から読み解く【生物化学的解説】





自律神経失調症とは?原因と仕組みを神経伝達物質から読み解く【生物化学的解説】



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自律神経失調症は体のコントロールがうまくいかない状態

心の病気の一つに「自律神経失調症」というものがあります。この病気は「神経失調」の名の通り、体の中の神経がうまく働かなくなり、
それゆえに体のコントロールがうまくいかなくなって

慢性的な疲労、めまい、偏頭痛、不眠、便秘

など、あらゆる症状が出てきます。

本記事では、生物化学的な観点から自律神経失調症を解き明かしていきます。
まず「神経とは何か?」から始まり、体における神経の役割を説明します。
次に、自律神経の働きを解説し、自律神経が正常に働いている状態と正常でない状態の比較をします。
最後に自律神経失調症の原因について説明します。

神経の役割

自律神経失調症について知るには、まず、神経の役割について知らなければなりません。
神経は動物の体内で情報伝達の役割を持ちます。
例えば、音が聞こえるというのは、音波が鼓膜を振動させ、その振動が脳に伝わり、私たちは音を認識します。
何かに触った時に熱い・冷たい・柔らかい・硬いなどを感じます。これも体中に張り巡らされた神経から脳へ触ったものの情報が伝わるために、感触というのが生まれるわけです。

何かで体の一部を切ってしまったときに「痛い」と感じるのは、切った部分の神経から脳へ「生命活動に悪影響が起きている」という情報が伝達されるために痛いと感じるのです。
逆に痛いと感じなければ、気づかないまま出血多量で死んでしまったりする危険があります。

神経と神経伝達物質

では、神経とはどんな形をしていて、どのようにして脳へ情報を伝達するのでしょうか?

神経は体中に張り巡らされた電気回路のようなものです。
神経というのは長い導線だと思ってください。脳から脊髄を通って各臓器や皮膚の裏側まで、隅から隅まで伸びています。

導線は一本で出来ているわけではなく、複数本で出来ています。導線一本一本を専門用語で「ニューロン」と呼びます。

これら導線をつなぐ役割をするのが神経伝達物質です。実際にはつながっているわけではなく、神経伝達物質は片方の導線から発生し、小さな空間(シナプス)を漂ってもう片方の導線に届きます。

ストーク

つまり、ニューロン一本一本が導線で神経伝達物質はON/OFFスイッチみたいなものなのか~。
神経伝達物質が受容体に達したときにONになるわけだな。こうして、ON/OFFを上手に制御して皆生きているんだな~

私たちが熱いものに触ると手を引っ込める反射と呼ばれる現象は、刺激が脳に伝わり、脳から「離れなさい」という指令が伝わる回路が完成したために起こるのです。

脳内の神経にかかわる病気の一つに「統合失調症」があります。統合失調症について解説したページをこちら↓に掲載いたしますので、良かったら読んでみてください。
[blogcard url=”http://shimaphoto03.com/psy/schi/”]

自律神経の働き

自律神経は、神経の内、内臓臓器の働きをコントロールする役割を持ち、交感神経と副交感神経からなります。
交感神経のON/OFFスイッチと副交感神経のON/OFFスイッチがバランスよく連動しあって健康な体を維持することができるのです。

ストーク

メシ食うと何もしなくても食べた物が消化されたり、明るいところに行くと、何も意識しなくても瞳孔が縮んだりするのは自律神経がしっかり働いているお陰なんだ。

自律神経は全て無意識に働くのです。
(※自律神経を意図的にコントロールして精神の安定を図る自律神経訓練法というものがありますが、基本、自律神経は無意識に働いて内臓臓器をコントロールしていると考えてください。)

交感神経と副交感神経

交感神経は活動しているとき、緊張しているときに働く神経であり、副交感神経は休息しているとき、リラックスしているときに働く神経です。
私たちは意識せずとも、交感神経と副交感神経をバランスよく制御することで生命活動を維持しています。

交感神経が働くと、体の中の各臓器は以下のような働きをします。
瞳孔散大/血管収縮/小腸運動低下 など

副交感神経が働くと、体の中の各臓器は以下のような働きをします。
瞳孔収縮/血管拡大/小腸運動活発化 など

ストーク

2つの神経は互いに相反する働きをするんだな。

交感神経の神経伝達物質 アドレナリン

神経では、シナプスに存在する神経伝達物質の量によって精密にON/OFF制御を行っています。神経伝達物質の一つにアドレナリンと呼ばれる物質があります。こんな構造をしています。

アドレナリンは交感神経の神経伝達物質です。したがってアドレナリンが多く存在するほど、交感神経が活発に(交感神経の電気回路がONに)なります。

副交感神経の神経伝達物質 アセチルコリン

同様に、副交感神経でも神経伝達物質がON/OFFの制御をしています。それを担うのがアセチルコリンです。こんな構造をしています。

アセチルコリンが多く存在すればするほど、副交感神経が活発に(副交感神経の電気回路がONに)なります。

自律神経が正常に働いている状態

交感神経は活動しているとき、緊張しているときに働く神経であり、副交感神経は休息しているとき、リラックスしているときに働く神経です。
交感神経が働いているときは副交感神経の働きは少な目で、逆に副交感神経が働いているときは交感神経の働きは少な目であるべきなのです。
両者の神経は互いに相反する働きをするためです。

交感神経と副交感神経がバランスよく働くためには、その神経伝達物質であるアドレナリンとアセチルコリンの量が適正でなければなりません。両者の量が適正にコントロールされていれば、自律神経は正常に働いている状態と言えるでしょう。

自律神経失調症とはどんな病気か?

ここまで来て、改めて自律神経失調症とはどんな病気かを考えてみましょう。最初に自律神経失調症とは体のコントロールがうまくいっていない状態と説明しました。
神経と自律神経について理解することで「体のコントロールがうまくいっていない状態」というのを

「交感神経と副交感神経のバランスのコントロールがうまくいっていない状態」というように言い換えることができます。

私たちは交感神経と副交感神経という二つの電気回路を持っていて、それぞれアドレナリンとアセチルコリンという物質がそのON/OFFスイッチを担っているのです。

本来、例えば副交感神経が優位な時(休息しているとき、リラックスしているとき)は交感神経の働きは少な目であるべきなのですが、
ここで「ストレス」が加わるようになるとアドレナリン過多になり、交感神経が優位になりっぱなしの状態になります。脳が「ストレスと戦いなさい」という指令を出すためです。

ストレスというのは人によって様々で職場のストレスであったり、配偶者同士の争いであったり、新しい環境に身を置くことも強いストレスに感じる人もいるようです。
交感神経が優位になりっぱなしでは、体を休めることができません。それによって

慢性的な疲労、めまい

などの症状が現れてしまうのです。

ストーク

本来は片方がONじゃないといけないところを、常に交感神経がONになってしまっているから、
体を回復させる副交感神経の働きが妨害されて、眠れないとか活動すべき時に倦怠感がひどいとか、そういった症状が現れるんだな。

自律神経失調症の原因

自律神経失調症の原因は実に様々です。
先ほど挙げたストレスでも自律神経は侵されますし、生活リズムの崩れや女性の場合は女性ホルモンの影響もあります。
また、生まれつき、自律神経が過敏な人もいますし、ストレスに弱い体質のために自律神経失調症になりやすいというパターンもあります。

自律神経は脳からの指令を受けて動作するので、脳の病気、すなわち心の病気と直結します。ストレスなどによって心が侵されてしまった場合、それが脳の指令になって自律神経のバランスを乱し、私たちの臓器にあらゆる悪影響を及ぼすのです。

つまり、心の病気を甘く見ていると体まで侵されてしまう

と言ってもよいでしょう。

まとめ

本記事では、自律神経失調症という病気について解説しました。

まず、神経は何か?から始まり、神経とは情報伝達の役割を果たすことを説明しました。
神経はどんな姿をしているのかを説明し、神経伝達物質がON/OFFスイッチの役割を果たしていることを説明しました。

次に、自律神経は内臓臓器の働きをコントロールする役割を持つことを説明しました。
自律神経は交感神経と副交感神経に分けられ、両者のバランスを保つことによって健康でいられるのです。

しかし、ストレス等の要因によって、両者のバランスが乱れると(例えば交感神経が働き過ぎるなど)、
十分な休息が得られない、倦怠感に襲われるという症状が出ます。

これが自律神経失調症なのです。

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