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【なぜルビーは赤色?】コランダム構造とクロム原子が生む宝石の輝きの秘密





【なぜルビーは赤色?】コランダム構造とクロム原子が生む宝石の輝きの秘密



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ルビーの赤色の秘密

シママ
ストーク、ルビーってあの深い赤色がとっても綺麗だよね。でも、なんでルビーは赤色なの?葉っぱが緑なのは光の吸収・反射の仕組みだって聞いたけど、ルビーはどうして赤に光るわけ?
ストーク
おう、シママ!実はルビーの赤も、内部に含まれる原子とその電子配置の影響で「特定の波長の光」が吸収され、余った光が赤色として見えよるとよ。今日は、その仕組みを一緒に紐解こうや。

ルビーはダイヤモンドに次ぐ硬度を持ち、7月の誕生石としても有名な美しい赤い宝石です。
今回は「ルビーがなぜ赤色なのか」、コランダム型の構造や、クロム原子の電子配置が関係していることを見ていきます。

ルビーの基本構造 コランダム

ルビーはコランダム(鋼玉)と呼ばれる鉱物の変種です。
コランダムはアルミナ(酸化アルミニウム Al2O3)を主成分としており、そこにクロムなどの不純物が入ることで色がつきます。

コランダムとアルミナ

コランダムは鉱物名、アルミナは物質名、そしてコランダム型はその結晶構造の名前です。
アルミナにはスピネル型とコランダム型があり、ルビーはコランダム型アルミナを基礎としています。

コランダム型のアルミナ構造

コランダム型の構造では、3つの酸素原子が作る窪みにアルミニウム原子が位置し、6配位八面体構造をとっています。

このような八面体構造がコランダムの基礎となります。

アルミナ中の不純物が色を生む

クロム原子がポイント

ストーク
コランダム型アルミナに約3%ほどクロム(Cr)が不純物として入ると、それがルビーと呼ばれるようになるっちゃね。

ルビーの中には、酸素に囲まれたクロム原子が存在し、これがルビーの赤色の正体です。
ただし、アルミニウムが中心の場合は色がつきません。
ではなぜ、クロムだと赤くなるのでしょうか?
それは、原子の「電子状態」の違いによるものです。

原子の電子状態の違い

アルミニウムイオン(Al3+)には3d軌道に電子がありませんが、クロムイオン(Cr3+)には3d軌道に電子が存在します。

この3d軌道に電子がいるかいないかが発色の鍵です。

ルビーの赤色の正体

3d軌道の分裂(縮退の解除)

本来、3d軌道はエネルギーが等しい5つの軌道(縮退状態)を持っています。
しかし、周りに配位子(今回は酸素原子)が来ることで、3d軌道のエネルギーが二種類に分かれます。
これを「縮退の解除」といい、低エネルギー側t2gと高エネルギー側egの2つに分裂します。

3d軌道内での電子遷移が色を生む

シママ
ふーん、3d軌道が分裂して、電子が低い軌道から高い軌道に移るときにエネルギーが必要なのね。そのエネルギーに対応する光の色が吸収されるんだ!

t2gの軌道からegの軌道へ電子が移るためには、特定のエネルギーが必要です。このエネルギーは青~緑色の光に対応します。そのため、青~緑色の光が吸収され、残った光が赤色として私たちの目に届くのです。

結果、白色光(いろいろな色が混ざった光)から青~緑を奪い去られた「残り」が赤色となり、ルビーの美しい赤い輝きが生まれます。

まとめ

ルビーの赤色は、コランダム型アルミナ中に含まれるクロム原子の3d軌道分裂によって、青~緑色の光が吸収され、赤色の光だけが残るためです。

ストーク
つまり「クロムが入り、d軌道が分裂して特定の光を吸収した結果、補色である赤色が見えるっちゅうわけや。葉っぱが緑に見える原理と似とるね、使わない光を跳ね返し、それがわしらの目に入るとよ!
シママ
ルビーの赤色がただの当たり前じゃなくて、ちゃんと量子化学的な理由があるんだね!素朴な疑問が、いろんな学問につながるんだなぁ。

物質が吸収しない可視光線の光が私たちに見える色となる――これは葉っぱが緑色になる原理と同じです。

shimakei8364