組織と仕事 / 会話の噛み合わなさ

結論

議論が噛み合わない会議は、意見がぶつかっているというより、 そもそも違う論点を話していることが多いです。

ある人は「目的」を話していて、別の人は「実務のやり方」を話している。 あるいは、片方は「方針」を決めたいのに、もう片方は「今すぐ起きる負担」を気にしている。 この状態では、会話量を増やしても前に進みにくくなります。

大事なのは、正しい意見を出すことより先に、 今どの論点を扱っているかを揃えることです。 議論の中身より、議論の位置を合わせる。 それだけで会議はかなり進みやすくなります。

相談:会議なのに、なぜか話が噛み合わない

会議をしているのに、なぜか話が前に進まない。
反対されているわけでもないのに、結論が出ない。

こういうとき、多くの人は「意見が対立している」と考えます。
でも実際には、もっと手前で、論点そのものがずれていることがあります。

ストーク

会議ってさ、ちゃんと話しよるのに
「なんか噛み合わん」ってなることあるたいね。

シママ

あるのよ。
しかもあれ、意見がぶつかってるんじゃなくて、
そもそも違う話をしてることが多いの。

ストーク

いや、同じテーマではあるやろ?
システム導入とか、運用改善とか。

シママ

テーマは同じでも、論点の階層が違うと噛み合わないのよ。
片方は「そもそもやるべきか」を話してて、
片方は「やる前提でどう回すか」を話してたりするの。

ストーク

あー、それやと、
どっちも自分はちゃんと答えとるつもりになるたいね。

シママ

そういうこと。
だから会議が止まったときは、
「誰が正しい?」より「今どの論点?」の方が効くのよ。

解説:噛み合わない会議は、論点の階層が混ざっている

会議で扱う内容は、ひとまとめに見えても、実際にはいくつかの階層に分かれます。
ここが混ざると、同じ日本語を話していても、会話が交差しません。

1)目的・方針・設計・運用は、似ていて別の話

たとえば会議では、次のような階層がよく混ざります。

  • 目的:そもそも何のためにやるのか
  • 方針:どの方向で進めるのか
  • 設計:どういう仕組みにするのか
  • 運用:実際に誰がどう回すのか

どれも大事ですが、同時に話すと混線します。
「必要性」を議論している人と、「現場負荷」を議論している人は、
互いに無関係なことを言っているわけではありません。
ただ、話している位置が違うだけです。

2)ズレると、相手がずれて見える

論点がずれたまま話すと、相手の発言が妙に的外れに聞こえます。
「それ今の話じゃないよね」と感じたり、
「なんでそんな枝葉の話をするの」と見えたりします。

でも実際には、相手は別の階層ではちゃんと筋の通ったことを言っていることがあります。
噛み合わない原因を性格や理解力に置く前に、
論点のレイヤーがずれていないかを見る方が建設的です。

ストーク

たしかに、「その話いま要る?」って思うとき、
相手からしたら一番そこが気になっとることあるたいね。

シママ

そうなのよ。
だから「ズレてる人」じゃなくて、
「違う階層を話してる人」と見た方が整理しやすいの。

3)会議は、論点を固定しないと長引く

会議が長引くときは、参加者の頭の中で扱っている問いが揃っていないことが多いです。
目的を決める会議なのに、運用の細部へ飛ぶ。
運用を詰める会議なのに、そもそもの必要性へ戻る。

行き来そのものが悪いわけではありません。
ただ、今どこを決める時間なのかが共有されていないと、
せっかく出た意見が全部「まだ早い話」か「もう通り過ぎた話」になってしまいます。

×「それは違う」○「今はどの階層の話をしていますか?」

×「話が飛んでる」○「それは目的・方針・設計・運用のどれですか?」

×「今そこじゃない」○「その論点は大事なので、次の段で扱いましょう」

4)シママ的に言うと、“正しさ”より“位置合わせ”が先

噛み合わない会議では、みんな自分の話を正当化しようとしがちです。
でも先にやるべきなのは勝ち負けではなく、位置合わせです。

いま決めたいのは目的なのか、方針なのか、設計なのか、運用なのか。
ここを一度そろえるだけで、同じ発言でも意味が通りやすくなります。

テンプレ:論点ずれを戻す一言

議論が噛み合わなくなったら、内容を足すより先に、
いま何を決める会議なのかを言い直す方が早いです。

【論点整理の4行】

1)今決めたいのは何ですか?
2)それは「目的・方針・設計・運用」のどれですか?
3)今はその階層に絞って話しましょう
4)別の階層の論点は、あとで回収します

例:
「いまは方針を決める場ですよね」
「その話は運用として重要なので、次の段で扱いましょう」
「まず目的をそろえてから、やり方に入ります」

シママ

これがあると、
人の話を切るんじゃなくて、論点を整える感じになるのよ。

ストーク

よかね。
「落ち着いて」より、ずっと具体的たい。

落とし穴

ありがちな失敗は、「全部大事だから全部この場で話そう」とすることです。
それをやると、会議は丁寧になったようでいて、決まらない会議になりやすいです。

論点整理は、重要でない話を捨てることではありません。
順番をつけることです。
今扱う階層と、あとで扱う階層を分ける。
それがないと、会議はいつまでも着地しません。

締め

ストーク

次から会議が止まったら、
「誰が正しい?」やなくて「今どの論点?」って聞いてみるたい。

シママ

うん、それだけでかなり変わるのよ。
会議って、答えを増やす前に、問いをそろえる方が先だから。