色彩工学の理論に基づくサンリオピューロランドの写真撮影攻略~RAW現像で色かぶりを補正し高画質な写真へ~





色彩工学の理論に基づくサンリオピューロランドの写真撮影攻略~RAW現像で色かぶりを補正し高画質な写真へ~



資料請求番号:PH73 PH74 TS94



白やピンクのキャラクターが青や緑に写ってしまう問題を解決する手段としてのRAW現像を色彩工学の理論に基づいて行う

課題

株式会社サンリオでは「マイメロディ」と呼ばれるキャラクターが1975年に開発されており、開発以降、永年に渡って幅広い年齢層の人々から愛されている。

マイメロディは2015年より行われているサンリオピューロランドのパレード、ミラクルギフトパレードに出演しており、フロートと呼ばれる乗り物に乗って登場する。

その際の写真をRAW現像で撮影し、プレビューとして得た画像を以下に示す。

撮影設定:シャッタースピード1/200s, F2.8, ISO800
マイメロディはピンクと白を基調としたかわいいウサギのキャラクターである。RAW現像を実行することにより、マイメロディがマイメロディらしく写った写真を作成せよ。

回答

RAW現像を実行した写真を以下に示す。

RAW現像にはPhotoShopCCを利用した。ソフト利用に使用したOSはWindows10である。
基本補正、トーンカーブ、ディテールの項を操作した。以下に各項の操作画面を示す。


基本補正

トーンカーブ

ディテール

以下、色彩工学の理論に基づいた、上記操作の考察を行う。

カメラが色を識別する仕組み

ここにはカメラが色を識別する仕組みについて、概要のみ示します。詳細は↓こちら↓
[blogcard url=”http://shimaphoto03.com/science/camera-color/”] カメラに届いた光は、撮像素子においてフーリエ変換を施され、以下に示すような等色関数の線形結合の形でデジタル化されることで色として認識されます。

各色x(λ)、y(λ)、z(λ)に明るさの関数P(λ)ρ(λ)をかけて以下の式で積分すると、赤色に相当するX,緑色に相当するY,青色に相当するZの3つのスカラ値になります。

ここで、P(λ)は波長λにおける光源の強度(明るさ、眩しさ)、ρ(λ)は波長λにおける物体が発する光あるいは反射する光の強度(明るさ、眩しさ)です。

ピューロのパレードで起こっていること

サンリオピューロランドのミラクルギフトパレードにおいては、演出の関係上、様々な色のLEDが発色しており、課題の写真は青色LEDによる影響を受けているものと考えられます。

以下、定性的な議論になりますが、P(λ)は以下のような関数になると考えられます。本来、青色LEDはInGaNを材料とした発光素子による波長460nmの単色光なのですが、外部環境(他LEDの発色や光の散乱など)の影響により分布を持っていると考え、今回は平均460nm、標準偏差30、全領域積分値=150の正規分布に近似しました。

一方、ρ(λ)はマイメロディの頭巾の色はピンクであることから、長波長側に複数のピークがあると思われますが、マイメロディの表面温度が室温であることから、簡単のため
ρ(λ)=1』
の定数として取り扱いました。
この時、等色関数を用いて

P(λ)ρ(λ)x(λ)、P(λ)ρ(λ)y(λ)、P(λ)ρ(λ)z(λ)の3つを計算すると、以下のような分布になります。

以下の分布を可視光波長領域にわたって積分した値がX,Y,Zですので

上記分布が作る図形の面積が3つのスカラ値X,Y,Zの値になります。

3つのスカラX,Y,Zは線形変換によりR,G,Bに写すことができるので、大小関係はそのままR,G,Bに相当すると考えています。

以上より、光源P(λ)の存在により、Bの値が過大評価されていると考えられます。

RAW現像方針

RAW現像の際、基本補正・トーンカーブ・ディテールの項目の設定を行いました。
(※私の現在の技術技能の関係上、他項目の詳細は操作したことがありません。)

基本補正

課題の写真は全体的に露光量が足りていないと思ったので、露出を+1.35としました。

RAW現像において、露出を増加させる行為は、光学機械の利得(=ゲイン)を増幅させる行為に相当するため、ノイズが出てくることに注意しなければいけません。
従って、RAW現像を行う際は、露出補正をプラスにして置き、現像時にはゲインを減少させる方向へ操作する方が望ましいと考えています。

トーンカーブ

トーンカーブは、光源P(λ)の存在により、Bの値が過大評価されていると考えたので、Bチャンネルのみを操作しました。

基本的に、入力=出力の直線よりもカーブの軌跡が下に来るように調整しました。カーブの軌跡はヒストグラムのピークに操作点を置き、B値の『入力>出力』となるようにしました。

ディテール


ノイズ軽減は、周囲の画素が持つ情報を平均化する、すなわち「ぼかし」と同じ原理でノイズを目立たなくする操作です。輝度と輝度のディテールの項目を操作し、ちょうどよい感じになるように調整しました。

調整前

調整後
こうして拡大してみると、マイメロちゃんのディテールをしっかりと表現できていないことがわかり、自分の技能不足を感じます。

完成品

冒頭に示しましたが、完成写真は以下の通りです。

この写真はもともと6000×4000だったものを、サイトの表示時間の関係上、600×400に圧縮して表示しております。

原本表示





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