【基本情報技術者試験】第7回:アルゴリズムとプログラミング基礎を総まとめ!制御構造・データ構造・代表的アルゴリズムを徹底解説





【基本情報技術者試験】第7回:アルゴリズムとプログラミング基礎を総まとめ!制御構造・データ構造・代表的アルゴリズムを徹底解説




【基本情報技術者試験】第7回:アルゴリズムとプログラミング基礎を総まとめ!制御構造・データ構造・代表的アルゴリズムを徹底解説

前回(第6回)はデータベース分野に焦点を当て、リレーショナルモデルやER図、正規化、SQLなどを詳しく解説しました。今回は、基本情報技術者試験のもう一つの柱といえる、アルゴリズムとプログラミング基礎に注目します。

午前試験では、疑似言語を使ったアルゴリズム問題や、代表的なデータ構造・ソート・探索などの知識が問われるほか、午後試験でも出題されることがあります。プログラミング言語の詳細を知らなくても解ける問題が多いですが、ロジックや考え方がしっかり身についていないと高得点は難しい分野です。

この記事では、制御構造データ構造などの基本知識から、代表的なソート・探索アルゴリズムの仕組みと計算量、アルゴリズム問題を解く際の考え方などを体系的に整理していきます。


1. アルゴリズム・プログラミング基礎の重要性

アルゴリズムとは「問題を解決するための手順・方法」のこと。プログラミングとは「コンピュータに対して命令を記述する」こと。基本情報技術者試験では、特定のプログラミング言語に依存しない形での出題が多いですが、命令型言語に慣れていると理解が早まります。

  • 午前試験では、疑似言語やフローチャートで示されたアルゴリズムの出力を求める問題、代表的なアルゴリズムの特徴・計算量を問う知識問題が出る。
  • 午後試験では、プログラムコードや疑似言語を読解し、バグの箇所や実行結果を導き出す問題が典型的。

アルゴリズム分野は、ITエンジニアとしての基礎的な思考力を問うところでもあるため、合格の鍵となる分野の一つです。


2. 制御構造の基本:順次・分岐・繰り返し

プログラムの制御構造は、どんな言語でも大別すると「順次処理」「分岐処理」「繰り返し処理」の3つに集約できます。これをしっかり把握しておくと、疑似言語を読むときもスムーズです。

2-1. 順次処理

プログラムは基本的に、上から下へと順番に命令を実行します。これが「順次処理」です。連続した計算や処理を記述する部分で、特別な分岐やループを伴わない場合はこの順次処理が適用されます。

2-2. 分岐処理(条件分岐)

条件式の真偽によって処理を切り替えるのが「分岐処理」です。一般的に以下のような構文で表されます:

IF 条件式 THEN
    処理A
ELSE
    処理B
END IF

単純なif文だけでなく、if-else-ifの多段分岐やswitch-case(またはselect-case)構文が用いられるケースもあります。基本情報技術者試験の疑似言語でも、条件判定と分岐の理解は必須です。

2-3. 繰り返し処理(ループ)

プログラムの中で同じ処理を複数回行う必要がある場合に使われるのが「繰り返し処理」です。代表的な例:

  • WHILE文: 条件式が真の間はループを繰り返す。
  • FOR文: 指定した回数だけループを繰り返す(カウンタ変数を1ずつ増やしながら制御)。
  • REPEAT-UNTIL文: ループを1回実行した後で条件判定を行い、条件が満たされるまで繰り返す。

繰り返し処理の問題では、何回繰り返すのかループ変数がどのように変化するかなどをきちんと追いかける力が求められます。


3. データ構造:配列・リスト・スタック・キューなど

アルゴリズムを考える上で欠かせないのが、データ構造の理解です。データ構造とは、コンピュータ上でデータを整理・保存する方法のこと。基本情報技術者試験では、以下のような構造がよく問われます。

3-1. 配列(Array)

連続したメモリ領域に、同じ型のデータを並べて格納する最も基本的なデータ構造。添字(インデックス)を指定して要素を取り出します。添字は0から始まる場合も1から始まる場合もあり、疑似言語の仕様によって異なる点に注意が必要です。

配列の利点はアクセスが高速(添字演算で直接要素にアクセス)であること。欠点は要素数が固定であり、途中に要素を挿入・削除するのがコスト高になることです。

3-2. リスト(Linked List)

要素同士をポインタや参照などで繋ぐデータ構造。連結リスト(単方向リスト、双方向リスト)では、要素を挿入・削除する際に配列と比べて効率が良い(要素を追加するときはポインタをつなぎ替えるだけ)というメリットがあります。

一方で、配列のようにランダムアクセスができない(頭から順番に辿らないと特定要素にアクセスできない)ため、要素の検索やランダムアクセスが遅いというデメリットがあります。

3-3. スタック(Stack)とキュー(Queue)

  • スタック(Stack): LIFO(Last In First Out:後入れ先出し)方式のデータ構造。「入れる(push)」「取り出す(pop)」操作のみを備え、最後に入れたデータを最初に取り出す。再帰呼び出しブラウザの戻るボタンなどで利用される。
  • キュー(Queue): FIFO(First In First Out:先入れ先出し)方式のデータ構造。「エンキュー(enqueue)」でデータを末尾に入れ、「デキュー(dequeue)」で先頭から取り出す。プリンタのジョブ管理タスクキューなどで利用される。

試験問題では、スタックやキューへデータを入れたり出したりしたときの結果を追いかける問題がよく出ます。操作の順番を正確に把握し、最終的にどの要素が出てくるかを判断する力が求められます。


4. 代表的なソート・探索アルゴリズムと計算量

ソート(並べ替え)や探索(検索)はアルゴリズム分野の代表格です。基本情報技術者試験では、バブルソート選択ソート挿入ソートクイックソートなどがしばしば登場します。計算量(オーダー記法)を問われることがあるので、O(n^2)O(n log n)といった大まかな性能目安を覚えておくと便利です。

4-1. ソートアルゴリズム

  • バブルソート: 隣接要素を比較しながら位置を交換していく。最悪計算量はO(n^2)。実装が簡単だが効率は低い。
  • 選択ソート: 最小(最大)の要素を順番に選んで先頭に持ってくる。これも最悪計算量はO(n^2)。比較回数は多いが交換回数は少なめ。
  • 挿入ソート: 部分的にソート済みの列に要素を挿入していく方式。最悪計算量はO(n^2)だが、データがほぼ整列済みのときは高速。
  • クイックソート: 分割統治法(ピボットを決めて配列を2つに分割し、再帰的にソート)。平均計算量はO(n log n)で高速だが、最悪ケースはO(n^2)。

試験での典型的な出題としては、「ある配列をバブルソートで並べ替えていく過程を追い、その結果を答えよ」といった問題や、「クイックソートと選択ソートの平均計算量はどのように異なるか」といった理論問題などがあります。

4-2. 探索アルゴリズム

  • 線形探索(リニアサーチ): 先頭から順番に目的の要素を探す方式。最悪の場合は全要素を調べるため、O(n)。
  • 2分探索(バイナリサーチ): 昇順にソート済みの配列に対して中央要素と比較し、探索範囲を半分ずつに絞り込む。最悪でもO(log n)と高速。

2分探索を使うためには、配列があらかじめソートされている必要があります。ソートにかかる時間+探索にかかる時間をトータルで考えると、どんな状況に適しているかが見えてきます。試験では、バイナリサーチの手順を疑似コードで示し、「何回比較すると見つかるか」などを問われるケースもあります。


5. アルゴリズム問題を解く際のポイント

午前試験・午後試験いずれのアルゴリズム問題でも、「途中結果を正確に追いかける」ことが大切です。疑似言語やフローチャートの記述をステップごとに丁寧に読み、変数の値がどのように変化するかを把握すれば、正答にたどり着ける可能性が高まります。

  • 変数の役割や初期値をしっかり確認: カウンタや配列インデックス、フラグなどを見落とさない。
  • 繰り返し処理の条件に注意: WHILEやFOR文でどのタイミングで判定するか(前判定・後判定)、ループ変数がどのように変化するかを明確にする。
  • 記述を省略しすぎない: 頭の中だけで考えず、必要に応じて紙に書きながら変数の変化を追う。
  • 代表例を想定する: サンプルとなる配列や数値を仮に置いて、実際に計算してみる。

午後試験では、コードの一部が空欄になっていて、それを補完する問題や、途中の変数の値や配列の状態を答える問題などが典型です。部分的な読解だけでなく、プログラム全体の流れを把握できるように心がけましょう。


6. 計算量(時間計算量・空間計算量)

アルゴリズムの性能を評価する上で欠かせないのが、計算量の考え方です。よく用いられるオーダー記法では、nを入力データのサイズとして、処理が増加するペースを表します。

  • O(1): 入力サイズに依存しない定数時間。
  • O(n): データが増えると処理時間が線形的に増加する。
  • O(n^2): データが2倍になると、おおよそ処理時間は4倍になる。
  • O(n log n): ソートアルゴリズムなどで代表的。n^2よりも高速だが、nよりは遅い。
  • O(log n): データが倍になっても処理回数は一定回数増えるだけ(2分探索など)。

試験問題では、「このアルゴリズムの平均計算量はO(n^2)だが最悪計算量はO(n log n)ではない」など、理論上の比較を問う問題がしばしば出題されます。厳密な証明は不要ですが、代表的なソート・探索のオーダーを覚えておくとスムーズに解答できるでしょう。


7. まとめと学習アドバイス

  • 制御構造(順次・分岐・繰り返し)を理解し、疑似言語を正確にトレースできるようにする。
  • 代表的なデータ構造(配列、リスト、スタック、キュー)の特徴と利点・欠点を把握する。
  • ソート・探索アルゴリズムの手順を追い、計算量(O(n^2), O(n log n)など)を大まかに理解する。
  • アルゴリズム問題を解く際は、変数の初期化・更新、ループの終了条件などを丁寧にチェックする。
  • 計算量のオーダー記法は必要最低限の知識(主要アルゴリズムのオーダーやlog nの感覚)を身につける。

アルゴリズム問題では、何度も実際に手を動かしてトレースする経験がものを言います。基本情報技術者試験の過去問や類似問題を繰り返し解き、「どのように変数が変化するか」を紙に書き出しながら学習するのがおすすめです。いきなり難しい問題に取り組むよりも、まずは基本的なロジックをしっかり理解することが合格への近道となるでしょう。

次回(第8回)は、セキュリティ分野に焦点を当てます。暗号化や認証、マルウェアの種類、情報漏洩対策など、現在のIT社会で欠かせない知識を幅広く取り上げていきます。お楽しみに!


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