前回(第15回)はネットワーク・セキュリティ問題の攻略法をご紹介し、OSI参照モデルやファイアウォール、VPNなどのポイントを学習しました。今回は、システム開発やマネジメント系問題に注目します。基本情報技術者試験の午後試験では、ソフトウェア開発プロセスやプロジェクト管理、リスク評価などが題材となり、論理的に問題を読み解く力が試されます。
この記事では、開発モデル(ウォーターフォール、アジャイル)の特性や、PMBOK的なプロジェクトマネジメントの視点、さらにはリスク評価や品質管理といったテーマを網羅し、午後試験での出題例を踏まえて解説していきます。試験対策だけでなく、実務にも直結する内容なので、しっかりと理解を深めましょう。
基本情報技術者試験の午後試験では、システム開発やマネジメントに関する大問が出題されるケースがあります。典型的なパターンは:
ソフトウェア開発モデル(ウォーターフォールやアジャイル、V字モデルなど)についての理解や、プロジェクト管理(ガントチャート、クリティカルパス分析など)の実践力が問われるため、午前試験のマネジメント知識を活かせるよう勉強しておきましょう。
午後問題では、長文中に「実際の開発プロジェクトの進行」「発生したトラブルや要件変更」「品質の指標」などがストーリー仕立てで書かれており、読解力が求められます。具体的には:
これらを踏まえて、「問題点を指摘して改善策を記述」「計画と実績が乖離している要因を特定」といった設問に答える形式が多いです。
ウォーターフォールモデルは、要件定義→基本設計→詳細設計→実装→テスト→運用保守という順番で工程を進める伝統的な開発手法です。特徴は:
午後試験では、「要件定義が十分に行われなかった結果、後工程で問題が発生」という事例を提示し、どのように改善するかを問うことが多いです。
アジャイル開発は、短い反復(イテレーション、スプリント)を繰り返し、動くソフトウェアを早期にリリースしてフィードバックを得る手法です。代表的なフレームワークにスクラムがあります。
午後問題では「アジャイル開発を導入するメリット」「スクラムマスターやプロダクトオーナーの役割」などを問われる場合があります。また、ウォーターフォールモデルとの比較をする設問も定番です。
V字モデルは、要件定義〜基本設計〜詳細設計〜実装と順次進みつつ、テスト工程が逆方向に配置され、どのテストがどの工程の検証になるかを明確化した開発モデルです。
午後試験でもソフトウェアテスト工程を含む事例が出てきた際、「どのテストが何を目的として行うか」を問われることがあります。V字モデルの考え方は重要です。
PMBOK(Project Management Body of Knowledge)には以下の10の知識エリアが定義されています:
午後試験では、スコープ管理(範囲)やスケジュール管理、コスト管理、品質管理、リスク管理などを主に取り上げる問題が多いです。例えば、見積りの精度やタスク分割(WBS作成)、クリティカルパス、リスク特定などの内容が出題されます。
プロジェクト管理でよく登場するのがWBS(Work Breakdown Structure)とガントチャートです。午後問題では、WBSの一部が提示され、タスクの依存関係や担当割り当て、所要日数などを読んで、
などの設問が定番です。クリティカルパスの算出方法(PERT図を描く、ガントチャートの最長経路を特定するなど)を復習しておきましょう。
リスクマネジメントでは、リスク特定・分析・対応策の計画・監視が重要です。午後試験では、プロジェクト事例として「人員が不足する可能性」「仕様変更のリスク」「外注先の納期遅延」などが提示され、
に関する記述問題が出ることがあります。PMBOK的な用語を覚えつつ、具体的なリスク対応策を説明できるようにしておくとよいでしょう。
ソフトウェアテストは、単体テスト→結合テスト→システムテスト→受け入れテストという流れが一般的であり、V字モデルにも対応しています。午後問題では:
午後試験で問われがちなのは「このテスト工程で何を検証すべきか」や「想定漏れがある場合、どの工程に戻るか」などです。
また、品質管理に関して、レビューやテスト手法、品質指標が出題されることもあります。
「プロジェクトで不具合が多発し、品質が低い原因はどの工程のレビュー不足か」など、午後問題で指摘や改善策を述べさせるケースが典型的です。
前回までと同様、問題文の全体構成をざっと把握してから設問を先に読むのが効率的です。問題文に登場するプロジェクトの状況や工程、組織体制を見ながら、「スケジュール管理でどんな問題が?」「リスクマネジメントが機能していない?」など、着目すべきポイントを整理します。
多くの記述式問題で「問題点と改善策を述べよ」という形式が登場します。回答時は:
字数制限があれば、結論を先に出し、根拠やメリットを簡潔に補足する形が読み手に分かりやすいです。
PMBOK的なプロジェクト管理問題では、ガントチャートやPERT図が提示されて、クリティカルパスや最短工期、余裕時間(フロート)を計算させる設問もよく出ます。ポイント:
紙に図を描き、最も長い経路を見つける段階的な計算が確実です。多くの方がこの計算で時間を使いやすいので、手慣れた手順を本番前に身につけておきましょう。
他の分野と同様に、過去問演習が王道です。3〜5年分の午後試験問題を解き、特に以下を重点チェック:
解説を読む際は、「なぜこの解答になるか」「他にどんな改善策が考えられるか」を深く考えながら、応用力を高めましょう。
PMBOKやソフトウェア開発プロセスに関しては、午前試験テキストで学ぶ用語を改めて再チェックしてください。各工程の目的や発生しうる課題、リスク対策などをまとめたノートを作ると、午後問題での記述時にすぐ思い出せます。
午前対策がひと段落したら、市販の模擬試験問題集やオンライン模試を使い、時間制限下で午後問題(特にマネジメント系)を解いてみましょう。クリティカルパスやバグ管理表、ステークホルダーマップなどが出てくると、時間を要する場合があります。
本番を想定した練習を何度か行うことで、落ち着いて問題文を読み解き、必要な情報を効率よく抽出できるようになります。
システム開発やマネジメント系の問題は、理論的知識と実践的な読解スキルの両方が問われます。過去問や模擬試験を通じて、プロジェクトの流れやリスクへの対応、品質向上策などを具体的にイメージできるようになることが合格への近道です。次回(第17回)は、実践・直前対策として、過去問活用法や復習のコツを改めて整理し、総仕上げに向けたアドバイスをお送りします。お楽しみに!