前回(第12回)は午後試験全般の攻略法を紹介し、長文読解のコツや時間配分、問題選択の戦略などを解説しました。今回は、その午後試験の中でも多くの受験者が苦戦しがちな「アルゴリズム問題」に特化して取り上げます。
アルゴリズム問題では、疑似言語やプログラムの一部コードを読み取り、処理の流れを推測して出力を求めたり、バグの箇所を探して修正したりといった作業が求められます。中には、データ構造(配列、スタック、キュー、リストなど)を駆使したソート・探索の問題も頻出です。この記事では、典型的な出題パターンと解き方を整理し、合格をつかむためのポイントを詳しく解説します。
午後試験では、アルゴリズム問題が「必須問題」または「選択問題」として出題されるケースがあります。いずれにせよ、合格を確実にするにはアルゴリズム分野から逃げるのは難しい状況が多いです。代表的なパターンとしては、
いずれも、基本的な制御構造(順次・分岐・繰り返し)や変数の扱い、配列やリスト等のデータ構造に関する知識が問われるため、プログラミングの基礎理解が合否を左右します。
午前試験ではアルゴリズムとプログラミングに関する基礎問題(ソートの計算量、制御構造やデータ構造の用語など)が出題されます。午後試験のアルゴリズム問題は、そうした午前知識をより実践的な読み解きスキルに発展させる場と考えてください。
つまり、単に「バブルソートの計算量はO(n^2)だ」という暗記だけでなく、「この疑似コードはバブルソートに似ているが、途中で条件分岐が違う点がある」といった読み取りまでできるかが重要です。
基本情報技術者試験の午後問題で用いられる疑似言語は大まかに以下のような書き方が多いです:
// 例:配列 A の要素数 n を読み込み、A を昇順にソートする疑似コード READ n FOR i FROM 0 TO n-1 READ A[i] END FOR FOR i FROM 0 TO n-2 FOR j FROM n-1 DOWNTO i+1 IF A[j-1] > A[j] THEN // 要素を入れ替える TEMP = A[j] A[j] = A[j-1] A[j-1] = TEMP END IF END FOR END FOR
問題文によっては独自の構文ルールが示される場合もあります。「配列の添字が1から始まる」などの違いを見落とさないよう注意しましょう。
疑似コードやフローチャートを読み解く際は、以下の点に留意して進めると効率的です:
本番では、大きな配列を全部書き出すのは時間がかかりますが、部分的に抜き出してトレースすると誤りが少なくなります。要領よくメモを取りながら進めましょう。
アルゴリズム問題では、配列や連結リスト、スタック、キューといった基本的なデータ構造が使われることが多いです。例えば:
午後試験では、これらの基本操作(スタックならpush/popなど)を行う処理が疑似言語で書かれ、最終的にスタックやキューに残った要素を答える問題がよく見られます。操作の順番や添字ミスに注意して、途中経過を正しく追跡することが大切です。
ソートと探索はアルゴリズム問題の定番です。頻出アルゴリズムを以下に挙げます:
午後試験では、ソートアルゴリズムの変形バージョンを出題して「交換の回数は何回発生するか」や「実行後の配列の順序はどうなるか」を問うケースがあります。実際に配列を紙に書いて追うのが確実です。
もっともオーソドックスなパターンは「疑似言語を実行したときの最終的な出力は何か」を問う問題です。変数・配列の途中経過や最終状態を正確に把握する必要があります。対策としては:
時間が許す限り、計算結果を再チェックしてミスを減らすことが大切です。
もう一つ頻出なのが、「この疑似言語には空欄があり、正しいコードを埋める」もしくは「バグがあるので修正案を書け」という形式です。ポイントは:
ここでも、典型的なソート・探索アルゴリズムの構造を知っておくと、「本来ここで j は i+1 からスタートすべき」など、バグに気づきやすくなります。
午後試験では、アルゴリズムの実行時間(計算量)や、より効率的な書き方を提案させる問題も稀にあります。例:「このアルゴリズムの実行ステップ数を n の式で表せ」「データがほぼ整列済みの場合の改善案を述べよ」など。
過去問を見ると数は多くありませんが、ソートの途中で交換が一度も発生しなかったら終了といった最適化を問う出題などが見られるので、頭の片隅に入れておくとよいでしょう。
アルゴリズム問題は、過去問を実際に紙に書きながら解く学習が最も効果的です。以下の点を意識すると理解が深まります:
一度解いた過去問でも、時間をおいて再度解いてみると、正確性とスピードが向上しているか確認できます。複数回の反復演習が特に有効です。
疑似言語の問題でも、簡単なプログラム(C、Java、Pythonなど)を自分で書いて実行してみると、処理結果を確かめやすいです。もちろん試験本番ではできませんが、勉強段階で「この疑似コードは実際にどんな出力をするか」を確認すると、理解と記憶が深まります。
ただし、言語仕様による細かな違い(配列のインデックスや入出力の書き方)に注意しつつ、あくまでも「疑似言語を本番で頭の中で実行する力」を養うのが目的です。
本番では時間管理が重要です。アルゴリズム問題に時間をかけすぎると、他の問題が手つかずになりかねません。したがって、模擬試験や問題集で、ある程度の制限時間(30分〜40分目安)を意識しながら演習しましょう。
慣れてくれば、途中経過をすべて書き出さなくても、ループの途中で「あ、この条件だと要素はこう動くな」と推測できるようになります。最終的には問題ごとの必要最小限のトレースで答えを導くスピードが鍵となるでしょう。
アルゴリズム問題は最初はハードルが高く感じられるかもしれませんが、パターン学習と実践的トレースを繰り返すことで大きく得点源にできます。次回(第14回)は、データベース問題のアプローチをさらに詳しく掘り下げ、SQLクエリや正規化手順、トランザクション管理などを取り上げる予定です。そちらもぜひお楽しみに!