前回(第11回)は、法務や標準化、知的財産権を取り上げ、ITエンジニアとして知っておきたい法的知識を整理しました。今回は、午後問題の攻略に焦点を当てます。基本情報技術者試験の午後試験は、長文問題と複数の設問を組み合わせる形式で、時間管理や問題選択のスキルが合否を左右しがちです。
この記事では、午後問題全体の構成や、出題形式と傾向、時間配分や選択戦略のコツ、そして苦手分野をカバーしながら得点を確保する方法などを詳しく解説します。午後試験は午前試験とはまた違ったアプローチが求められるため、ぜひ参考にしてください。
基本情報技術者試験(午後)は、長文問題と複数の設問から構成され、プログラミングやアルゴリズム、ネットワークやデータベース、セキュリティ、マネジメント、ストラテジ系など広い範囲が取り上げられます。大きな特徴は以下のとおりです。
試験時間(午後)は2時間30分(150分)で、複数の大問から規定数(または自由選択で特定の数)を解答します。問題文はかなり長いので、限られた時間内で効率よく解くスキルが求められます。
午後試験の各問題は満点が決まっており、最終的に得点合計が6割(60点)以上で合格とされています。基本情報技術者試験では、午前・午後の両方で合格基準点(60点)をクリアする必要があります。午後だけの対策ではなく、午前との相乗効果も意識しつつ勉強を進めましょう。
午後問題は大問ごとに出題分野が異なり、選択制である場合が多いです。たとえば、情報セキュリティ問題は必須、残りの問題から○問選択といった形態が典型的です。
午後問題の多くは、長い説明文やシステム仕様書、ログ解析例などを読み、それに関する設問が段階的に出題されます。たとえば、ネットワーク構成が書かれた資料を見て「ルータの設定上の問題点を指摘しろ」「IPアドレスを計算しろ」などが問われる、といったパターンです。
この形式に慣れるためには、過去問を解きながら長文を読み取る訓練を積むことが効果的です。
午後試験では、アルゴリズム問題やプログラミング言語問題(C、Java、Pythonなどの疑似コード、もしくは実際のコード)が選択できる場合があります。これらは、
アルゴリズム問題は、繰り返し処理や配列操作、ソート・探索などの典型的な構造が頻出です。疑似言語の構文に慣れておくことと、変数のトレースを正確に行う練習が不可欠です。
午後試験の定番として、データベース問題やネットワーク問題があります。たとえばデータベース問題では、
ネットワーク問題では、
これらは午前試験の知識がそのまま応用できる分野ですが、長文や実践的な設定ファイルの読み取りがあるため、読み解く力がさらに重要です。
午後試験では、多くの場合「必須問題」と「選択問題」が設定されています。セキュリティ問題が必須となるケースが多く、その他複数の中から2問または3問を選ぶといった形になります。得意分野を優先的に選ぶのはもちろんですが、以下の点にも注意しましょう。
最初に問題冊子をざっと見て、分野ごとの大問概要を把握した上で選択を確定するとよいでしょう。解く順番も重要で、得意な問題から先に解き、安定した得点を確保しておく戦略がおすすめです。
午後試験は150分で、例えば大問4問を解答するとなると単純計算で1問あたり37~38分程度です。ただし、問題によって分量や難易度が異なるため、一律に同じ時間をかける必要はありません。一般的な時間配分の例を示すと:
大切なのは、「1つの問題で深みにはまりすぎず、ある程度割り切る」姿勢です。完璧を目指しすぎて時間切れになるのが最悪のパターンです。
長文問題の冒頭には、システムの概要や背景、登場人物などがまとめられているケースが多いです。まずはざっと読み流して構造を把握し、設問を先にチェックしてから詳細に戻ると、効率よく「何を答える必要があるか」を確認できます。
午後問題は長文を読まなくても答えられる部分問題が存在することがあります。知識系の設問や計算問題など、長文依存が少ないものは先に解いておくと、点数を確保しやすいです。
ただし、問題文のどこかにヒントが散りばめられている場合もあるので、完全に長文を無視して解くのはリスキーですが、ざっと問題文を確認した上で分かる問題から取り組むと時間を節約できます。
午後試験では、「~はなぜか。理由を30字以内で述べよ」などの記述問題が出ることがあります。ポイントは以下のとおり:
また、表記の揺れ(ひらがな・カタカナ・漢字など)や不適切な略語に注意し、読みやすい文体を心がけます。試験官が短時間でチェックしても正しく意図が伝わるように書くのが大切です。
午後試験は長文読解と実践力が問われるため、過去問演習が非常に効果的です。少なくとも直近3~5回分の過去問は、時間を計りながら本番さながらに解いてみましょう。
特に、アルゴリズムやプログラミング問題は頻出パターン(配列操作、ソート、探索、文字列処理など)があるため、過去問を通じて典型的な構造をマスターするのが近道です。
午後試験で問われるネットワークやデータベース、セキュリティなどの分野は、午前試験の知識がベースになっています。午前対策として覚えた用語や仕組みを午後で活かすためにも、
午前知識に加えて、午後ならではの読解力や論述力を磨いておくと、合格点に届く可能性がぐっと高まります。
過去問に加えて、市販の模擬試験問題集やオンラインの模試サービスなどを活用するのもおすすめです。本番と似た形式(大問や段階的設問)になっている模試で練習すると、以下のメリットがあります:
本番直前期には、模擬試験や問題集で制限時間を意識した演習を繰り返し、合格ライン(60点)を超えられる状態を作っておきましょう。
午後試験は、ある程度の読解力・分析力・論述力が必要であり、過去問を使った実践的な勉強が合格の鍵を握ります。今回紹介した攻略法をもとに、自分の得意分野と苦手分野を再確認しながら、効率よく合格点を目指しましょう。
次回(第13回)は、午後問題の中でも特に悩む方が多いとされるアルゴリズム問題の解き方を深掘りしていきます。疑似言語の構文やデータ構造のトレース方法、頻出パターンを具体的にご紹介する予定です。お楽しみに!