資料請求番号:PH21
以前、焦点距離18-300mmの高倍率ズームレンズをタムロン・シグマ両者で比較致しました。
[blogcard url=”http://shimaphoto03.com/photo/lens_comparison”]
今回は広角ズームの基本を解説した後に、広角ズームを対象として、
焦点距離10~20mmの範囲でタムロンとシグマ、どちらが良いレンズなのかを比較致します。
対象となる2レンズの型番はこちら
#1 10-24mm F3.5-4.5 DiⅡ VC HLD(タムロン製)
#2 10-20mm F3.5 EX DC HSM(シグマ製)
この2レンズで実際に写真を撮り、比較を行いました。
広角レンズは主に風景の撮影に使用されます。
人の眼よりも広い範囲で写真を写すことができるので、自然の雄大さを強調できるのです。
広角の領域では被写界深度(ピントの合う領域)が深いので、ピンボケしにくいです。
ポートレート・動物など、被写体が決まっている写真は、主人公のみピントが合って、それ以外はボケている写真が好まれますが、
風景のような「見えるもの総てが被写体」というような写真では隅から隅までピントが合っている写真(パン・フォーカスの写真と言います)が好まれます。
広角レンズは遠近感が強く出るので、風景以外にも遠近感を付けたいと思ったときに使用します。
放射構図と呼ばれる、消失点を含む写真を撮るのに向いているのです。
※放射構図は新幹線撮影において重要な構図ですので、こちらの記事で説明しています。
[blogcard url=”http://shimaphoto03.com/photo/shinkansen”]
写真における主人公の強調を
「遠近法」でやりたい場合は広角レンズで
「ボケ」でやりたい場合は望遠レンズで
撮影することをおススメします。
そんな広角レンズですが、遠近感を比較するのは(しかも家電量販店内で比較するのは)難しいので、結局どのレンズにも求められる2つの指標
①手ぶれ耐性
②撮影作品を拡大したときの画質
の2点に着目して比較を行うことにしました。
①について、広角の領域で手ぶれ耐性が必要か?と言われれば意見は分かれますが、私は必要であると思います。
朝焼け、夕焼けそして夜景を撮りたいときにシャッタースピードを遅くして集光するためです。
三脚があればシャッタースピードをどれだけ遅くしてもブレることはありませんが、三脚を携帯して山に登ったり、飛行機に乗って遠くの街へ出かけるのは少々面倒です。
それに「あ、綺麗な景色!」と思った瞬間に撮影できないのも辛いですよね。
②について、撮影作品を拡大したときの画質ですが、風景写真というものは構図の隅から隅までキレイに、遠くの山々にある木の葉っぱ一枚一枚まで鮮明に写っているものが美しいと考えます。従って、拡大したときのキレイさというのは非常に重要になります。
家電量販店にて#1と#2のレンズを私のカメラ本体(Nikon D5500)に装着して焦点距離10㎜と20mmで撮影。
撮れた写真の一部部分を拡大し、その画像の画質、ブレ具合を評価します。
焦点距離10㎜で撮影したときの店内の様子は以下の通りです。
商品棚にラミネートされたチラシが多数立てかけられており、天井からも看板が多数吊り下げられています。
その多数あるチラシの内、「カメラ 分割払い24回まで無金利キャンペーン」と書かれたチラシがあったので、そのチラシにピントを合わせ撮影し、「無」の字を拡大させて比較しました。
焦点距離は両レンズの広角端10mmとシグマレンズの望遠端(と言っても広角の領域ですが)20mmとしました。以後、焦点距離10mmを広角端、20mmを広角と呼びます。
広角端:タムロン10mm, シグマ10mm
広角:タムロン20mm, シグマ20mm
撮影モードはシャッタースピード優先としました。
全てのケースにおいて、シャッタースピードは1/10秒としました。
焦点距離10㎜~20㎜ではブレるかブレないかの瀬戸際となるシャッタースピードです。
iso感度は全て100としました。
写真の色味によって、画質が良いように見えたり悪いように見えたりします。また、その感じ方は人それぞれなので、この実験では色味を固定すべくホワイトバランスを晴天(色温度5500K)に設定しました。
ブレが起こるか起こらないかギリギリのシャッタースピードで撮影しているため、撮影者のコンディションによってブレ具合が左右されることがあります。従って、同じ条件で写真を連続で5枚撮影し、最もブレていないモノを選択しました。
#1のタムロンのレンズには手ぶれ補正機能があり、#2のシグマには手ぶれ補正機能はありません。
両レンズとも、できるだけレンズのパフォーマンスを良い方向に発揮させたいと考えるため、タムロンの手振れ補正機能はONとしました。
また、シグマの広角レンズには手ぶれ補正機能のついているモデルは発表されていないことも確認しています。
広角端である焦点距離10mmで撮影した場合、写真全体の見た目はこのようになります。
この写真の「無金利」の無の字を拡大した写真が以下の通りです。
#1 10-24mm F3.5-4.5 DiⅡ VC HLD(タムロン製)
焦点距離:10mm,シャッタースピード:1/10 sec ,F13,iso100
#2 10-20mm F3.5 EX DC HSM(シグマ製)
焦点距離:10mm,シャッタースピード:1/10 sec ,F11,iso100
6000×4000pxから50×50pxを取得しているわけですから、画像を80倍に拡大してこの写り方という見方をします。
#1の方が鮮明に「無」の字が写っていることが分かります。タムロンには手ぶれ補正機能があるため、タムロンの方が優勢と言えそうです。また、この実験結果は夕焼け・朝焼けによく使用される1/10秒のような遅いシャッタースピードを使うシーンにおいて、タムロンの手振れ補正機能を使用すれば、風景の木々の葉っぱ等、ディテールまでキレイに表現できることを示唆しています。
広角の焦点距離20mmで撮影した場合、写真全体の見た目はこのようになります。
この写真の「無金利」の字を拡大した写真が以下の通りです。
#1 10-24mm F3.5-4.5 DiⅡ VC HLD(タムロン製)
焦点距離:20mm,シャッタースピード:1/10 sec ,F13,iso100
#2 10-20mm F3.5 EX DC HSM(シグマ製)
焦点距離:20mm,シャッタースピード:1/10 sec ,F11,iso100
無金利の文字では違いが分かりにくいですが、「キャンペーン」の文字を見るとやはりタムロンの方がブレなく高画質で写せていると思います。
今回は手振れ補正のあるタムロン、手振れ補正のないシグマで比較してみましたが、サードパーティー製で近い性能のレンズの組み合わせがなかったため、このような組み合わせになってしまいました。
今回の実験から、「広角においても手振れ補正は重要」ということがわかりました。1/10秒のシャッタースピードと言えば、大体夕焼け・朝焼けを写すときのシャッタースピードです。夕焼け・朝焼けのような少し薄暗い環境で三脚を使わずに写したいという時にタムロンの手振れ補正が活きてくることがわかりました。
ただし、タムロンレンズとシグマレンズとでは、前回の比較で「シグマ優勢」という、明らかな結果が出ています。
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シグマにも手振れ補正を付けさせて同じ土俵で比較してみたかったのですが、シグマが手振れ補正付きの広角をリリースしない限りは実験できません。
広角ズームレンズを購入する際、タムロンにするか?シグマにするか?に関しては、
今回の実験で手ぶれ補正機能にちゃんと効果があるということが実証されているため、比較的遅めで手持ち利用可能なシャッタースピード帯(1/4程度~1/30程度)を使用する場合は手ぶれ補正機能のあるタムロンを選択したほうが良さそうです。
上記シャッタースピード帯は夕焼け・朝焼け・薄暗い室内で使用されるシャッタースピードです。
上記シャッタースピード帯を使用しない、または三脚を使用することが確実な場合、どちらでも良いと思われます。ただし、前回の実験結果を鑑みると、
レンズ製造の技術力はシグマの方が上と考えられそうなので、シグマを選択すると良いと思います。