資料請求番号:TS93
私たちが普段目にしている光や恩恵を受けている電波は波の性質を持っているということを証明した過去があります。今回はマクスウェルの方程式を出発点にして電磁波は本当に波なんだということを確認することが目的です。
資料請求番号:TS13波動と電磁波について勉強して身の回りの現象を見てみよう私たちの身の回りには電磁波であふれています。太陽の光・蛍光灯の光・放射線・テレビの電波などなど。私たちは知らない間に電磁波の関わる現象を見たり、電磁波の恩恵を受けたりしていま... 電磁波とは何か ~波のイメージと色々な電磁波~ - らい・ぶらり |
マクスウェルの方程式4つを持ってきました。
マクスウェルの方程式の解釈についてはこちら
資料請求番号:TS92マクスウェル方程式と現象のイメージを結ぶマクスウェル方程式は「電磁気現象を表現する4つの基礎式」です。この4つの基礎式は色々と難しい記号が使われていて初学者にはなかなか理解が難しいものだと思います。この記事では4つの基礎式を紹介し、... 【電磁気学】マクスウェルの方程式の直感的解釈 - らい・ぶらり |
今回は点電荷と電流が一切ない真空を仮定しています。なので②式と④式の右辺は0となります。
⑤式のεは誘電率で真空中では8.854×10-12 [kg-1・m-3・s4・A2]の値を持ちます。電荷に力を及ぼす場の強さを表すEと電荷から発生する場の強さDは異なる二つの場ですが、⑤式のように比例定数で結ぶことができるのです。
⑥式のμは透磁率で真空中では1.257×10-6[kg・m・s-2・A-2]の値を持ちます。
上記4つのマクスウェルの方程式と2つの関係から、電場と磁場から電磁波が生まれる様子を数式で追っていきたいと思います。
まずはファラデーの法則(①式)から見てみたいと思います。
コイルの中に棒磁石を抜き差しするとコイルに沿って電流が流れるという式ですね。これの回転をとります。
二つの項に∇×が増えました。ここで、ベクトル解析の公式
を使います。公式の証明はこちら↓
資料請求番号:TS32ベクトル解析の公式をなるべく省略せずに証明するここではベクトル解析で出てくるいろいろな公式を大真面目に証明してみようと思います。ベクトル解析では式の複雑さから色々なものを省略して書かれており、教科書で理解することが難しかったりし... ベクトル解析の公式を証明する - らい・ぶらり |
(1-2)式は次のように変形されます。
電荷の保存式(④式)と⑤式から∇・E = 0が導かれます
(1-5)を(1-4)へ代入すると
さらに②式を以下のように変形して∇×BをEの式で表します。
(1-7)式を(1-6)式へ代入して
これをまとめると
同様にしてアンペールの式(②式)を変形します。変形の方法はファラデーの式(①式)と同じです。
確認したい方はこちら
電場の変動によって回転する磁場ができるという式です。これの回転を取ります。
ここで、ベクトル解析の公式
を(2-2)式へ適用すると
磁場は発散しないという基本法則から∇・H = 0が導かれます。
(2-5)を(2‐4)へ代入すると
さらに①式を以下のように変形してDをBの式で表します。
(2-6)式について、⑥式から∆Hを∆B/μに変形し、(2‐7)式を代入すると、Bに関する方程式が得られる。
両辺をμでかけて
まとめると
マクスウェルの式をごちゃごちゃいじることで、以下の2つの式が生まれました。
これらは「波動方程式」に分類される偏微分方程式です。波動方程式の定義は以下の通り。
波動方程式とは
で表される定数係数二階線形偏微分方程式の事をいう。sは波動の位相速度を表す係数である。波動方程式は振動、音、光、電磁波など振動・波動現象を記述するにあたって基本となる方程式である。
Wikipedia「波動方程式」より
定義にある式と上の2式を見比べてみてください。EやBをuに、μεを1/s2に置き換えれば二つの式は波動方程式ですよね。波動方程式で記述できるということは電場や磁場は波動なのです。この電場や磁場でできた波を私たちは電磁波と呼んでいるのです。
上記定義から、(3-1)や(3-2)の波の速度を求めてみましょう。・・・と言っても簡単で、波動方程式の定義に則ってμε = 1/s2をsについて解けばいいのです。
s = 1/(με)0.5
になりましたよね。1/(με)0.5はどんな数字でしょうか?
s = 1/(1.257×10-6×8.854×10-12)0.5 = 2.998×108 [m/s]
光の速さになりました。これは「光は電場と磁場の相互作用から発生する電磁波だ」ということを証明していることになります。
これで私たちの身近に存在する「光」というものを数式で表現することができました。これによって人類は光を使ったいろいろな技術(携帯電話、テレビ、電子レンジなど)を使うことができるようになったのです。