水素と酸素の反応による爆発実験

資料請求番号:TS23 TS72

水素爆鳴気を簡単に定量的に実行する

水素と酸素を化合させたら水ができる。中学校の理科でこのことを勉強すると思いますし、その実験をやったことがあると思います。水素と酸素が反応したとき、強烈な音と光を発しながら水が生成する現象を「水素爆鳴気」といいます。

今回は、水素爆鳴気をなるべく少ない実験器具(≒家にあるもの)で定量的に実行し(酸素:水素=1:2)、強烈な爆発をさせてみた。というレポート形式の記事です。

中学校の実験で行われる水素爆鳴気

ストーク

ファビーが中学生の時、水素と酸素を反応させる実験はどうやってやった?

ファビー

う~ん・・・。よく思い出せないけど・・。
なんか水素を発生させてそれを水の中でプクプク~って集めてな~試験管に火を近づけてボフッ!って・・・。

ストーク

あ~亜鉛と塩酸を反応させて水素を出してそれを水上置換法で集めて、それに火を点けるわけやな~。

ストーク

どんな感じやった?

ファビー

びっくりした~!でも、面白かったよ!

ストーク

でもな、中学校でやるその実験はな、水素と酸素の量を量っていない、いわば定性的なものたい。
試験管に水素を集めて、火を点けると空気中の酸素と反応して音を出し、水になる。
このとき、水素と酸素の濃度はわからんやろ?

ファビー

わからない?

ファビー

え??話がよくわかんない・・・・。水素と酸素の濃度?

ファビー

シママ助けて~!わからない~!

シママ

え?えっと・・・。
例えば、体積がわかってるビニール袋の中に純粋な水素を入れたら、水素の濃度はわかるでしょ?

ファビー

うん。

シママ

でも、試験管の栓を開けた瞬間、水素の濃度ってわからなくなるよね?外気に開放されちゃうんだから。

ファビー

うん。

シママ

そのあとに火を点けてる。つまり、水素の濃度がわからない状態で火を点けて反応させてるよね?

ストーク

せやせや。そういうことたい。
ファビーが中学生のときにやった水素爆鳴気は反応時の水素と酸素の濃度がピッタリ2:1になっとらんたい。
今回は、反応時の水素と酸素の濃度をピッタリ2:1にしてやる。そしたら、中学校の時にやったものと比べ物にならんくらい、えら~い爆発になるたい。

シャボン玉を使った定量的な水素爆鳴気

シママ

でも、どうやって水素と酸素の濃度比を2:1にするの?
ペットボトルでも使って水上置換する?
体積測ってペットボトルにマジック線入れてさぁ。

ストーク

ペットボトルなぁ・・・。どうやって火を点けるん?火を点けようと開けた瞬間、定量性は崩壊するたいね。

ストーク

さっきオマエがファビーに説明したことと同じや~ん。しっかりしてや~(笑)

シママ

あ・・・そっか(笑)

シママ

電極付けてスパークさせるとか?それならペットボトルのフタ開けなくてもいいでしょ?

ストーク

う~ん。定量性はええけど・・・それってペットボトルの中で反応することになるたいね。
それやと、バクハツ~って感じのおもろい動画撮れんやろ?
あと、個人的都合。俺は電気に詳しくないから、電極付けてスパークは怖い。

シママ

(・・・そっか。これ、学校の授業じゃないんだ。ブログなんだ。)

ファビー

なら、シャボン玉使うのはどう?

ストーク

シャボン玉・・・・?

ストーク

あ!ええな!それ!

ストーク

体積を量って反応させたい。でも、容器は使いたくない。
ペットボトルの中で反応させてもおもろい動画撮れそうにないし、
袋、とくにビニール袋を使うのは危険やけん、融けたビニール袋が四方八方に飛び散る。飛び散った先で最悪火を点けるかもしれんし、目に入ったら最悪や。
ここは大学や会社の実験室でもなか。保護メガネ持っとらんしな。

ストーク

・・・てな感じなことを考えるとな、シャボン玉ってナイスアイデアたいね!

シママ

でも、火を点けた瞬間にシャボン玉が破裂して中身が飛び出すんでしょ?
それじゃあ、試験管とかペットボトルとかと同じ話になっちゃうんじゃ?

ストーク

あ、そか・・・。

ストーク

・・・・・・。

ストーク

ちゃう。ちゃうよ。

シママ

え?何が?

ストーク

シャボン玉でええよ。ええか?こういう時は実験時の状況と自然現象を頭ん中でシミュレーションするたい。

シママ

ワタシたちにはそれができないんだってば!説明して!

ストーク

いくで。
①試験管またはペットボトル、その他の容器の栓を開ける
②栓付近で着火させる
③爆発する
この①~③のステップと

ストーク

①シャボン玉に着火する
②シャボン玉が弾ける
③爆発する
この①~③のステップ。
後者の①~③のほうが時間短く、つまり早いやろ?

シママ

・・・確かに。

ストーク

で、今回観察したい現象言うのは一瞬で起こる現象や。マイクロ秒とかミリ秒のスケールで起こるんや。
水素酸素の外気への拡散も、水素と酸素の反応もな。ということは、①~③がマイクロ秒とかミリ秒で完結できる
ファビーちゃんご提案のシャボン玉法がいかに優れとるか
、わかるやろ?

シママ

そっか・・・。栓開けて着火させるとしたら最低でも1秒はかかる。この1秒が致命傷なのね。

ストーク

せやせや。おまけに、シャボン玉の直径からシャボン玉の中に入った気体の体積も計算できるし、割れたシャボン玉は後片付け必要なし。ビニール袋が飛散して目に入る心配もなし。
総じてラクやろ?

シママ

そうね~

ストーク

ええよええよ。ええ案ありがとな、ファビー!

ファビー

うん!
(なんか途中からよくわかんなくなったけど、ストークのツボにハマったようやからよかった~)

実験

実験の目的と原理

~目的~
水素爆鳴気を実行する。特にその威力が最大になる水素濃度:酸素濃度=1:2の状態を定量的につくり、水素と酸素の反応は少量でも破壊力があることを知る。

今回行う反応は以下の通り。
H2 + 1/2 O2 = H2O + 286kJ/mol
H2 23.5 mL, O2 11.8 mL
(H2 1.05mmol, O2 0.526 mmol と等価)

発熱量は286 [kJ/mol] × 1.05 [mmol] = 300 [J]
~水素・酸素の定量性~

シャボン玉は半球になるとして、球の体積の公式4πr3/3より、

V = 2πr3/3
直径をRとするとr = 1/2 Rより

V = πR3/12
→ R = (12V/π)1/3

以上より、酸素で直径3.5cmまで膨らませたのち、水素で直径5.1cmまで膨らませる
上記の体積、物質量(酸素:水素=1:2)で反応させることができる。

酸素・水素の測量はシリンジを使っても可(と思われるが、実行していない。)
ただし、ゴムチューブを使うなどして酸素・水素に空気が混入しないように工夫する(と思われる。)

材料を揃える

ストーク

用意するんは、これらとシャボン液とチャッカマン。以上。ラクやわ~。

シママ

水素と酸素のボンベは?

ストーク

モノタロウで買うた。こればっかしはな~家にあるもので~!
ってわけにはいかんかった。
でも、モノタロウは個人でも使えるたい。

シママ

水を電気分解したらできるんじゃないの?

ストーク

オマエなぁ~簡単にいうけどなぁ~。電気分解する装置買うか?
それとも、家の電気100Vを使ってできるとでも?

シママ

あ・・そっか。

ストーク

家の電気でできる人もいるかもしれんたい、それはそっち系の知識があるからできる。
俺には残念ながらそれがない。むやみやたらにやるのも危険やしな。

シママ

そうねぇ~・・・。

ストーク

ちなみに水素ボンベは900円くらい、酸素ボンベは500円くらいやった。
材料をまとめるぜ。

~水素爆鳴気実験 材料~
ポリプロピレン製プレート
チャッカマン
中性洗剤
砂糖
マジックペン
耳栓
上記 6品は100円ショップで購入
もちろん、家にあるものを使用してもOK

酸素ボンベ
水素ボンベ
上記 2品はモノタロウで購入

シャボン液をつくる

ファビー

ストーク、このままシャボン玉作っても簡単に割れちゃうんじゃ?

ストーク

せやな。そこで砂糖が重要な役目を果たすたい。中性洗剤にな、砂糖いれよったら割れにくいシャボン玉ができるたいね。

ファビー

へぇ~そうなんや~

ストーク

割れにくいシャボン玉の液のレシピは以下の通り。

~割れにくいシャボン玉 作り方~
水 100mL
中性洗剤 25mL
砂糖 10gずつ溶かしながらちょうどいい感じになるまで入れる

ファビー

ざつ~!!

ストーク

これは実験の本質じゃなか、雑でええたい。とにかく意図しないタイミングで割れなければよし。
そもそもなぁ、中性洗剤って時点で雑やけん、中性洗剤って色々あるやろ?

ファビー

確かにね~。

ストーク

ちょうどええ感じってのは、酸素水素ボンベ付属のノズルで突いたとき、簡単に割れないくらいがちょうどええな。ただし、濃くしすぎると、膨らませたときシャボン液が球になるまで時間がかかるから注意たい。

爆発させる

ストーク

酸素で直径3.5cmまで膨らませたあと、水素で直径5.1cmまで膨らませれば、酸素:水素は1:2になるたい。
具体的分量を言えば酸素が11.8mL, 水素が23.5 mL,モル数で言うなら22.4L/molやから、
酸素が0.526mmol, 水素が1.05 mmol, 反応エンタルピーが-286kJ/molやから、発熱量はちょうど300Jたい。

ストーク

さて、火を点けるぞ。耳栓してな。

シママ

・・・・・

ファビー

(ワクワク~)


音 量 注 意 ! !

小音量から少しずつ音量を上げてください。

等速再生

スロー再生 (1/8倍速)

コマ送り (1/60倍速)

シママ

いやっ!!

ファビー

お~!!

ストーク

な、すげぇやろ?耳栓必要やろ?

ファビー

え~!!同じ水素爆発なんに、こんなにも威力が違うんやね~!!

ストーク

せや!酸素:水素=1:2を守ったらな!
これがホンマの水素爆鳴気たい!

爆破の威力と反応速度

ファビー

どうしてこんなちょびっとでこんなにバクハツするん?

ストーク

それはな、酸素:水素=1:2の時、反応速度が最大になるからたい。

ファビー

はんのう・・・そくど・・・・。

ストーク

この反応によって300Jのエネルギーが発生しとる。
化学反応のエネルギー300Jだけ音と熱と光になって放出されとる。
そうやろ?

ファビー

うん。

ストーク

300Jの熱の放出が例えば1時間で行われたら、なんか温かくなったな~・・・。って感じやけど、
1秒で行われたら?0.01秒で行われたら?それだけ短い間に熱を放出するんやから、その瞬間、強烈な破壊力がでるたいね。
これが爆発。

ファビー

う~ん。。

シママ

ホラ、同じスピード、同じ形、同じ重さの物質でも
こんにゃくゼリーをぶつけられた時と野球ボールをぶつけられたときとでは
野球ボールのほうが痛そうじゃない?

それって、野球ボールが人にぶつかっている時間が短いからなのよ。

ファビー

それ、なんか物理で習ったような・・・。

ファビー

・・・あ!力積や!

ストーク

お!ええ喩えやな。
せやな。その人が受けるエネルギーは同じでもそれを受ける時間が短ければ短いほど破壊力は増す。
この爆発も同じで、酸素:水素=1:2の時、反応速度が最大になるから小さいシャボン玉でも耳栓が要るほどの大きな音を出すたい。

ストーク

H2 + 1/2 O2 = H2O + 286kJ/mol
の反応速度は
r = k[H2][O2]1/2になるとして
水素20mLに対して純酸素の体積、あるいは空気の体積を変化させたとき、相対的な反応速度はこんな感じになる

ファビー

・・・あ!確かに10mLで最大になっとる!!

ストーク

まぁ、この計算は反応速度係数がわかっていない、
反応が進むにつれて反応速度が変化することを考慮していない、
反応が進むにつれて温度が上がることを考慮していないなど、厳密性に欠ける部分は大いにあるが、
酸素:水素=1:2で反応速度が最大になるというイメージをつかむにはちょうどええのかなと思う。

ストーク

それでファビーが中学生のころにやった、水上置換で集めた水素に火を点けるという実験は、
空気の体積がめちゃ多い状態で反応しとるから、このグラフをずーっと右に行ったところの速度で反応しとる。
つまり、反応速度が遅いけん、今回の実験に比べたら大したことない感じになったんやろうな。

ファビー

なるほど~!!

まとめ

今回は水素爆鳴気を定量的に行うということで、シャボン玉を使用し、そのシャボン玉を決められた直径になるまで酸素および水素で膨らませて酸素:水素=1:2の混合気を作り、爆発させました。原理・手順・結果・考察を簡単にまとめます。

原理

H2 + 1/2 O2 = H2O + 286kJ/mol
H2 23.5 mL, O2 11.8 mL
(H2 1.05mmol, O2 0.526 mmol と等価)

発熱量は286 [kJ/mol] × 1.05 [mmol] = 300 [J]
~水素・酸素の定量性~

シャボン玉は半球になるとして、球の体積の公式4πr3/3より、

V = 2πr3/3
直径をRとするとr = 1/2 Rより

V = πR3/12
→ R = (12V/π)1/3

以上より、酸素で直径3.5cmまで膨らませたのち、水素で直径5.1cmまで膨らませると
上記の体積、物質量で反応させることができる。

酸素・水素の測量はシリンジを使っても可(と思われるが、実行していない。)
ただし、ゴムチューブを使うなどして酸素・水素に空気が混入しないように工夫する(と思われる。)

材料と手順

~水素爆鳴気実験 材料~
ポリプロピレン製プレート
チャッカマン
中性洗剤
砂糖
マジックペン
耳栓
上記 6品は100円ショップで購入
もちろん、家にあるものを使用してもOK

酸素ボンベ
水素ボンベ
上記 2品はモノタロウで購入

~手順~
①プレートにマジックで目盛りをつける

②割れにくいシャボン液をつくる
~割れにくいシャボン玉 作り方~
水 100mL
中性洗剤 25mL
砂糖 10gずつ溶かしながらちょうどいい感じになるまで入れる

③プレートの上で直径を測りながら
酸素で直径3.5cmまで膨らませたのち、水素で直径5.1cmまで膨らませる

④点火する

結果

音 量 注 意 ! !
小音量から少しずつ音量を上げてください。

等速再生

スロー再生 (1/8倍速)

コマ送り (1/60倍速)

考察

化学反応が進んだ時に発生する熱は、その放出時間が短いほど破壊力が増す。すなわち、反応速度が速いほど強烈な爆発となる。
化学反応速度論から、酸素:水素=1:2としたときに反応速度は最大となる。その相対的変化は以下の通りである。

今回は定量的に酸素:水素=1:2としたため、小さな体積の混合気でも耳栓が必要となるほどの爆音と強烈な光を生じた。

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