資料請求番号:SH44
以下のExcelシートにおいて「A2+B2」を計算し、C2セルに出力したい。
このとき、C2セルには計算結果の値として「3」を代入するのではなく、
式として「=A2+B2」を代入したい。
そしてその数式を6行目まで相対参照でコピーしたい。
この操作をマクロで実行できるプログラムを作成せよ。
FormulaR1C1プロパティを使用する。
プログラム例
//FormuraR1C1 Sample Progaram //
For i = 2 To 6
Cells(i, 3).FormulaR1C1 = “=RC[-2]+RC[-1]”
Next i
実行結果
上記のマクロを実行することで、C2セル~C6セルにわたって、「=A2+B2」の相対参照が実行できる。
左辺には、数式を出力したいセルを入力します。このとき「.FormulaR1C1」と記述することにより、Formulaプロパティを使用することを宣言します。
右辺には””で囲んだ部分をシート上に出力します。このとき
=RC[-2]+RC[-1]
と記述しておりますが、これは
左辺で指定したセルから相対的に見て
同じROW(行)、2列手前のCOLUMN(列)に位置するセルと
同じROW(行)、1列手前のCOLUMN(列)に位置するセルの
数値を足してください。
という指示になります。したがって、左辺がCells(2,3)、すなわちC2セルの場合は
同じROW(行)、2列手前のCOLUMN(列)に位置するセル = A2セルと
同じROW(行)、1列手前のCOLUMN(列)に位置するセル = B2セルの数値を足してください
すなわち=A2+B2をしてください。という指示になるので、マクロを実行した際に
C2セルに「=A2+B2」が代入されるのです。
C3セルの場合は
同じROW(行)、2列手前のCOLUMN(列)に位置するセル = A3セルと
同じROW(行)、1列手前のCOLUMN(列)に位置するセル = B3セルの数値を足してください
すなわち=A3+B3をしてください。という指示になるので、マクロを実行した際に
C3セルに「=A3+B3」が代入されます。
これを6行目まで繰り返せば、目的は達成されます。
以下のシートで
以下のプログラムを実行すると
‘1列目と2列目を足すプログラム
Sub sample()
‘TypeA
For i = 2 To 6
Cells(i, 3).FormulaR1C1 = “=RC[-2]+RC[-1]”
Next i
‘TypeB
For i = 2 To 6
Cells(i, 4) = Cells(i, 1) + Cells(i, 2)
Next i
End Sub
このようなC列とD列に同様な数値を得ることができますが、
FormuraR1C1プロパティを使用しているC列では
数式が入力されていますが、
FormuraR1C1プロパティを使用しなかったD列では
数値のみが入力されることになります。
FormulaR1C1プロパティを使用すると、
①マクロを使用する者から見たとき、可読性がアップする。
②ソルバー機能を含んだマクロを組めるようになる。
というメリットが予想できます。
①について、私たちが作成したマクロをブラックボックスとして使用してもらうことを想定したとき、実行した結果として、
こちらの表示の方が
こちらの表示よりも使用者にとって、作成者が何をしているのかを推測しやすくなります。
②について、物理化学現象の解析や化学工場を設計を行う多くの人は
「多元連立方程式をソルバーで解く」
という方法論を学んでいます。しかし、マクロでソルバーをやらせるには、各方程式の残差を数式で表現できていなければいけません。このとき、R1C1Formulaプロパティが役に立ちます。
※応用例
資料請求番号:TS55 SH43McCabe-Thieleによる階段作図をExcelで再現するマクロの作成本ページは下記資料の内容を理解していることを前提に話を進めています。精留塔とは気液平衡とは何か?については下記資料をご覧ください。また、本ページは「McCabe-Thiele法によ... 【マクロ VBA】精留塔に関するMcCabe-Thiele法をExcelで行う - らい・ぶらり |
マクロを組む者、読む者から見たとき、可読性が低下する恐れがあります。
例えば以下の資料では
資料請求番号:SH43 TS41Runge-Kutta法を使った振動計算常微分方程式を使うと、様々な自然現象を記述することができます。その常微分方程式の数値解法としてルンゲクッタ(Runge-kutta)法があります。※Runge-kutta法の詳しい解説はこちら今回は、振動運動の運動方程... 振動の運動方程式をエクセルVBAを使って解く - らい・ぶらり |
Function F2(ByVal t As Double, ByVal x As Double, ByVal v As Double) As Double
F2 = -omega0 ^ 2 * x – 2 * gamma * v + force * Cos(omega * t)
End Function
とFunctionプロシージャを使用して式を表記することで、Functionプロシージャを見るだけで、何の式を計算しているのか、大体推測ができるようになります。
FormulaR1C1プロパティでは、
Cells(16 + i, 3).FormulaR1C1 = “=(R3C8 * RC[-1]) / (1 + (R3C8 – 1) * RC[-1])”
のような書き方をするので、何の式を計算しているのか、全く分からなくなります。したがって、上記のプログラムの手前に
‘yi = (alpha * x) / (1 + (alpha – 1) * x)
といった表記を行うことで、何の式を計算しているを計算しているのかわかるようにする工夫が必要になります。