資料請求番号:PH15
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動物園に行けば、普段目にしないような動物や可愛くて癒される動物がいっぱいいますよね。珍しい、あるいはかわいいから写真に納めたい。しかも「良い写真」を撮りたいと思われると思います。ここでは、全国8か所の動物園や水族館を回ったしままるが、動物園での写真の撮り方のポイントを紹介します。
「良い写真を撮りたい」というのは私も言いますし、色々な人が言っていますけど、良い写真っていったい何なのでしょうか?まずはそこから考えてみたいと思います。
私の考える「良い写真」とは
・被写体(動物)が構図に占める割合が多い
・被写体以外の物体が少ない、あるいはない
・写真一枚で動物の行動やしぐさが伝わる
と言った感じの写真を「良い写真」と考えています。これから上記3つの要素を占める写真を撮るにはどうしたらよいか?を解説していきます。
この記事では、焦点距離300㎜程度が使用できる望遠レンズを搭載した一眼レフカメラを使用すること前提としています。過去にアップした「動物の撮り方」の説明に沿って説明しておりますので、この記事でわからないことやイメージしづらいことがあればこちらを参照下さい。
資料請求番号:PH15動物撮影の楽しさとテクニックを紹介動物というのは「かわいい」「かっこいい」のはもちろん、いろいろな表情、姿勢、行動を見せてくれるので被写体として大変魅力的です。しかし、予想もしない動きをしたり、シャッターチャンスが来た!と思って... 動物写真の撮り方(可愛くかっこよく撮る4つのコツを紹介) - らい・ぶらり |
動物を展示する獣舎の形態は動物園によって様々ですが、柵が細いあるいはガラス張りであり、獣舎が広い場合、良い写真が撮れる確率が高まります。
ライオンの撮影を例にとって説明したいと思います。
池田動物園(岡山県岡山市)に展示されているライオン
以下に示したのは岡山市にある池田動物園のライオン獣舎です。柵が太く、獣舎が狭い場合、どう頑張っても、獣舎の柵が写りこんでしまいます。また、獣舎の柵があっても、獣舎が広ければ、柵と柵の間に入ったライオンの姿を捉えたり、柵を前ボケさせることができなくもないですが、それも難しいくらいの狭い獣舎でした。
ライオン獣舎の外観
獣舎が狭くて退屈そうでした。
八木山動物公園(宮城県仙台市)に展示されているライオン
獣舎の外観の写真がないので、私の記憶の脳内イメージ図しかないのですが、人の通り道と獣舎(というより、ライオンを放し飼いしている空間と言ってもいいかもしれません)の間に隔たりがあって、その奥に細いネットがあって、その奥の広い空間でライオンが放し飼いされています。
柵(ネット)は細く、獣舎は広いので、ライオンが獣舎の奥にいればネットは前ボケで消すことができますので、良い写真が撮れます。
ポイント1をまとめます。「柵が細い、あるいはガラス張りであり獣舎が広い」と良い写真が撮りやすいということです。次の3つの図を見てください。この3つの図で人から矢印がでているかと思いますが、これがレンズに入る光の軌跡です。この矢印に障害物が当たると、被写体以外の障害物が写ってしまいます。
池田動物園の場合、柵が太く、獣舎が狭いので、どうしても柵が写ってしまいます。
池田動物園で、もし、獣舎が広かったら、望遠を使って柵と柵の間から被写体の顔だけ写せたかもしれません。ちなみに池田動物園のライオン獣舎くらいの柵の太さでは前ボケ技術で柵を消すのは難しいです。
八木山動物公園の場合、障害物としてのネットはあるものの、ネットは細いので前ボケで消すことができます。さらに獣舎が広いので、奥でくつろぐ被写体を望遠でキレイに写すことができます。
マニュアルモード以外ではカメラがちょうどいい明るさ、すなわち適正露出を割り出してくれるのですが、これは正直あてになりません。なぜなら、動物と獣舎の位置関係によって、動物に当たる光の量がいくらでも変わるからです。
こちらは池田動物園にあるミーアキャットとプレーリードッグの獣舎です。
この獣舎はポイント1に則って考えると広く(動物の体から見て相対的に)ガラス張りなので、良い写真が撮れそうな獣舎です。
本題に戻ります。この日はとても良い天気でしたので、周囲はかなり明るいです。ところが獣舎の中は上にあるテントのお陰で少し薄暗いのです。この状態で、露出補正ゼロで写すとこんな感じの暗い写真になってしまいます。
そこで、露出補正を+2.3にすることで(ちょっとやりすぎたかな・・)
こんなに明るい写真が撮れます。こちらのほうが、ミーアキャットの可愛さが目立ちますよね。
ポイント2は「カメラが提示する適正露出を疑い、露出補正をかけ、確認しながら写真を撮ること」です。帰って確認して、写真が全部暗かったなんてことがあったら悲しいですからね。
獣舎の前でしばらく写真を撮っていると、だいたい動物の行動パターンがわかってきます。例えば、ミーアキャットは日光浴が好きなので立ち上がってじーっと太陽を浴びます。これを利用すると
こんな感じのなんかちょっとメッセージを入れられるような写真とか
正面から写しても可愛い写真が撮れます。
仰向けになって日光浴をすることもあります。仰向けになる動物はあまりいないので、ミーアキャットは仰向けのしぐさを撮るのに適しています。
鳥が翼を広げているシーンというのはかっこいいですね。私もよくそれを狙って撮ります。水鳥は、水から上がると、翼を乾かしているのでしょうか?翼を振るしぐさをとります。ちょうど雨に濡れた犬が体を振るように。
このことから、水から上がりそうな水鳥にピントを合わせ、シャッタースピードは速めにして構えておくと、翼を広げたカッコイイ写真が撮れます。ただし、この写真にはちょっと残念な点があります。背景にある植物が「うるさい」のです。水鳥の上がった場所が植物の目の前だったから上手くぼかすことができませんでした。
以下の写真は宮城県仙台市の八木山動物公園で撮りました。
以下の写真の様に、クチバシを背中に当てて休む行動をとります。このときは動かないので、お気に入りの構図、明るさをじっくり考えて、ゆっくりシャッターを切るチャンスです。この写真は池田動物園で撮りました。
これは動物園ではなく、宮城県北部にある伊豆沼で撮った渡り鳥たちです。みんなでこうして休んでいるんですね。4匹キレイに並んでいるので被写体としてはGOODでした。
獣舎の中には色々な物体が置いてあります。それは木だったり、箱だったり、砂山だったり、色々です。八木山動物公園のホンドテン(イタチの仲間)は灰色のプラスチックの入れ物から顔を出す仕草を良く見せてくれます。
そして、こんなかわいい写真も撮れました。
ポイント3は「動物の行動を予測する」ということで、動物にはそれぞれ個性や行動のクセがあります。動物園に行く前にその動物の種としての特性を学んでいくのもいいですし、現場で出会った個体のクセを見つけ出すのも良いでしょう。動物の行動が予測できれば余裕をもってカメラの設定ができますし、「置きピン」ができます。置きピンができるというのはメリットが大きいのでぜひ実践してみてください。
同じ獣舎に2匹以上飼育している場合、動物間のやりとりが発生します。それは威嚇や喧嘩だったり、寄り添ったり、じゃれあったりなど様々です。動物間のやり取りがあると、写真表現の幅が広がります。
例えば、池田動物園ではミーアキャットを複数頭飼いしていますので、こんな写真が撮れます。
仲良く寄り添ってくつろいだり
威嚇しあったりといったやり取りが見れます。
名古屋市にあります、東山動物園では、アシカを複数頭飼いしています。アシカと言えば、うみの杜水族館(宮城県仙台市)におけるショーでしか見たことがなかったので、自由に歩いたり泳いだりしたシーンを見たことがなかったのです。
こんな風に威嚇しあったりして、自由な雰囲気でした。
こんなほのぼのとした雰囲気になったかと思いきや
いきなり、じゃれているのか喧嘩をしているのかわからないような激しいアクションシーンになったりします。
ポイント4は「複数頭飼いの獣舎を狙う」ということで、2匹以上の飼育では、動物間のやりとりがあるため、写真表現の幅が広がります。ぜひ、複数頭飼いの動物を見かけたら、ゆっくり観察してみてください。面白い行動をとるかもしれません。
池田動物園のヤギさんは一瞬だけ、こんなお茶目なしぐさを見せてくれました
東山動物園のマレーグマもこんなお茶目なしぐさを見せてくれました
こんな感じで狙いはせずとも、偶然面白い写真が撮れたりするのも動物園での写真撮りの魅力です。
今回は動物園における写真の撮り方として、まず良い写真とは何かについて考えて、こんな感じの写真が良い写真であると考えました。
・被写体(動物)が構図に占める割合が多い
・被写体以外の物体が少ない、あるいはない
・写真一枚で動物の行動やしぐさが伝わる
そして、それに基づいてポイントを5つ紹介しました。
ポイント1:良い写真が撮れるかどうかは「獣舎」で決まる
「柵が細い、あるいはガラス張りであり獣舎が広い」と良い写真が撮りやすい
ポイント2:カメラの決める適正露出はあてにならない
カメラが提示する適正露出を疑い、露出補正をかけ、確認しながら写真を撮ること
ポイント3:動物の行動を予測する
動物の行動を学び予測して「置きピン」をする。
ポイント4:複数頭飼いの動物は写真表現の宝庫
2匹以上の動物たちのやりとりが写真表現の幅を広げてくれる
ポイント5:予期せぬ一瞬も楽しい
動物写真では予期せぬ一瞬が多いです。連写してて気づいたら面白い写真が撮れてたなんてこともあります。「私はこういった写真を撮るんだ!!」と意気込んで写真を撮ってみて予想通りの写真を得るのも楽しいですが、予期せぬ一瞬を撮るのも楽しいのです。